研究課題/領域番号 |
15K00608
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
遠藤 智明 仙台高等専門学校, 専攻科, 教授 (60369915)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンモニア / 窒素 / フラーレン / バイキャップ型包接錯体 / シクロデキストリン / 1,3-ジオン |
研究実績の概要 |
1.フラーレン(C60)とγ-シクロデキストリン(γ-CyD)からなるバイキャップ錯体(r-CyD)2・C60錯体)の合成法の検討を行った。トルエン(C60)-水系(γ-シクロデキストリン)の混合溶媒からなる包摂錯体の合成において、塩基の添加により、高収率で、バイキャップ触媒が合成できることを見出した。合成された化合物が、バイキャップ型錯体を形成しているかの構造の検討を継続している。 2.C60-r-CyD錯体を用いた窒素よりアンモニアを生成のための検討を行った。アンモニア検出試薬を用いて、定性的にアンモニアの生成が確認できた。既設のFT-IR装置に、研究費で導入したATR装置を用い、アンモニア生成の定量的な解析を継続している。 3.(γ-CyD)2・C60の触媒としての性能を比較するために、1,3-ジオンを有するC60誘導体とγ-CyDの錯体合成を行った。嵩高い置換基を導入するため、ジベンゾイルメタンをブロモ化した化合物を用い、ビンゲル反応により、C60誘導体とした。この化合物とγ-CyDとの包摂錯体の合成を試み、錯体の形成は確認されたが、どのような形の錯体ができたか解析中である。ジベンゾイルメタンでは嵩高過ぎる可能性があるため、これより小さいサイズの置換基を導入したC60誘導体を用いて錯体の形成を行った。錯体構造について、さらなる詳細な検討を行っている。 4.1,3-ジオン誘導体の合成を行った。先に述べた化合物を合成していくためには、原料化合物が必要となる。クライゼン縮合を用いて、様々な種類の1,3-ジケトンを合成し、それをモルタル反応などのグリーン・ケミストりの手法を用いてブロモ化し、新規なC60誘導体を合成する原料の合成を行った。 (国際会議での報告 4件)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、順調に研究が進行している。(γ-CyD)2・C60のバイキャップ錯体の合成では、塩基を用いることによって効率よく合成する方法が見出された。(γ-CyD)2・C60のバイキャップ錯体を触媒とする窒素からのアンモニア合成では、アンモニアの生成を、アンモニア検出試薬で確認した。FT-IRにATRを装置を装着し、IRによりアンモニアの生成の詳細を検討中である。以上と対比するための、C60誘導体を包接したγ-シクロデキストリン包接錯体の合成においては、新規な包接錯体の合成が進んでいる。合成は順調に進んでいるが、構造の確認にさらなる時間が必要である。研究を進展させるため原料合成は順調に進んでおり、化合物ライブラリが充実してきた。報告としては、3回の国際会議で成果を報告した。さらに詳細な分析を行い論文投稿に繋げていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.昨年度までの研究を継続し、発展させる。特に、アンモニア生成のATR法による定量的検討に力をそそぎ、(γ-CyD)2・C60触媒のアンモニア生成の反応機構を明確にできるよう検討を進める。そのための対比として用いるC60誘導体のγ-CyD包接錯体の合成を進展させ、その触媒作用についても検討を進めていく。アンモニア生成の反応機構解析に関しては、亜ジチオン酸ナトリウム以外の還元試薬を用い、反応機構の解析を進めていく。 2.新規な化合物として、糖を置換基として導入した新たな水溶性フラーレンの合成を行う。現在、糖を導入した1,3-ジオン化合物を合成し、さらにビンゲル反応を用いてC60の誘導体を合成する。糖の導入により新規な水溶性フラーレンが合成できると考えている。この化合物を触媒とする窒素からのアンモニア生成の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
いただいた研究費は、ほぼ予算額を計画通り使用させていただいた。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度の残金8982円は、今年度の試薬購入費用として使用する予定である。
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