研究課題/領域番号 |
15K00610
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
高松 さおり 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 助教 (10547855)
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研究分担者 |
中里 勉 鹿児島大学, 学術研究院理工学域工学系, 准教授 (30323330)
丁子 哲治 鹿児島工業高等専門学校, その他, 校長 (80092790)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 未利用リン資源 / 下水汚泥焼却灰 / アルミニウムゲル / リン酸カルシウム |
研究実績の概要 |
下水汚泥プロセス過程で濃縮される未利用リン回収に関する過去の研究では,汚泥中に共存する金属成分を分離・除去後,肥料化することを目指してきた。本研究では,未利用リンリサイクルの障壁となっていたアルミニウム等の金属成分に着目し,アルミニウムをリン回収の「反応場」に,鉄やマグネシウム等を高機能化の「助剤」として逆に利用することを着想した。これにより,未利用リンを「触媒」等の工業的付加価値の高い機能性材料とすることを目指している。 初年度は,アルミニウム源として硝酸アルミニウム及び硫酸アルミニウムを用いた場合のリン酸カルシウム合成の最適条件の検討を行った。リン酸濃度2000mg/L,アルミニウムイオン濃度1000mg/Lに調製した水溶液を用いて種々のpH条件にてリン酸カルシウムを合成した。その結果,pH5~9の広い範囲でリンをアルミニウムゲル中に固定化できた。特に,pH6~7付近ではほぼ100%回収することが可能であった。ここにカルシウムイオン水溶液を加えることによりリン酸カルシウムの一種であるリン酸二水素カルシウム(DCPD)及びヒドロキシアパタイト(HA)として回収できた。 平成28年度は,鉄含有リン酸カルシウムの合成について検討を行った。リン酸濃度2000mg/L,アルミニウムイオン濃度1000mg/L,鉄イオン50mg/Lを含む水溶液をpH7に調製した後,アルミニウムゲル中でカルシウムイオンと反応させてリン酸カルシウムを合成した。液相中のリン及び鉄はほぼ100%固相へ移行した。回収した固相はHAとして回収することができた。回収したHAを水溶液中のフッ素処理材として活用できるか基礎実験にて確認したところ,フッ素を除去できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応募申請書に記載した通りに計画通りに研究に取り組むことができている。 初年度は,アルミニウム源として硝酸アルミニウム及び硫酸アルミニウムを用いた場合のリン酸カルシウム合成の最適条件の検討を行った。その結果,pH5~9の広い範囲でリンをアルミニウムゲル中に固定化できた。特に,pH6~7付近ではほぼ100%回収することが可能であった。さらに,カルシウムイオン水溶液を加えることでリン酸カルシウムの一種であるリン酸二水素カルシウム(DCPD)及びヒドロキシアパタイト(HA)として回収できた。 平成28年度は,共存金属として鉄について検討を行った。リン酸イオン及びアルミニウムイオンに加えて鉄イオンを含む水溶液のpHを調製し,アルミニウムゲル中でカルシウムイオンと反応させてリン酸カルシウムを合成した。回収した固相はHAとして回収することができた。液相中のリン及び鉄はほぼ100%固相へ移行した。回収したHAを水溶液中のフッ素処理材として活用できるか基礎実験にて確認したところ,フッ素を除去できることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,合成した鉄系リン酸カルシウムの触媒性能評価を行う。また,当初考えていた触媒利用の他に,アンモニアの吸着剤として活用できることが見いだされたので,こちらについても検討を行う予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況のための打合わせをメールや電話等を用いて省略したことにより,鹿児島への出張旅費の使用が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は最終年度となるため,これまでの研究成果を付き合わせ,face to faceでの打合わせが数回必要となるため,当初計画した旅費に加え,使用する予定である。
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