研究課題/領域番号 |
15K00632
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
稲垣 照美 茨城大学, 工学部, 教授 (90184712)
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研究分担者 |
李 艶栄 茨城大学, 工学部, 講師 (20712821)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 伝熱 / 熱交換器 / 相変化蓄熱 / 熱物性 / 環境志向 / 低位熱エネルギー / 廃熱利用 |
研究実績の概要 |
本研究は,「低位熱エネルギー回収向け多段型相変化蓄熱熱交換システムの開発と熱輸送機構の解明」と題する研究である.当該システムでは,工業的に広く利用されている排熱温度域(100℃~数百℃)よりもさらに低温度域(常温域~100℃以下)の未利用低位熱エネルギーまでの有効利用を志向している.研究は以下の三つの要素から構成され,それらは①「専用蓄熱媒体の熱・物理・化学的特性の解明」,②「多段型相変化蓄熱熱交換システムの構築と評価」及び③「蓄熱熱交換システム内部の伝熱・流動現象の解明」である.本研究の目的は,蓄熱媒体の最適化と熱物性を同定するとともに,相変化蓄熱に付随する諸熱流動現象を実験と数値シミュレーションの両面から解明しながら,環境志向の家庭用多段型相変化蓄熱熱交換システムの設計指針の確立を目指すことである. 平成27年度は①の研究コンテンツからスタートさせ,多段型相変化蓄熱熱交換システムへの作動流体や伝熱機構の最適化を図るための単段型相変化蓄熱熱交換システムを構築した.本研究の成果は,化学工学会の化学工学論文集に「相変化蓄熱媒体の熱物性と水平密閉矩形容器内の自然対流熱伝達 - 脂肪酸 -」と題して平成27年度内に採録(42巻1号pp.22-29, 2016)され,②の研究コンテンツの一部についても平成27年度内に単段型相変化蓄熱熱交換システムを構築した.ただし,単段型相変化蓄熱熱交換システムの実験的な検証については,平成28年度以降に順次進める計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該研究の構成要素は,①「専用蓄熱媒体の熱・物理・化学的特性の解明」,②「多段型相変化蓄熱熱交換システムの構築と評価」及び③「蓄熱熱交換システム内部の伝熱・流動現象の解明」である. このうち,①の研究コンテンツは化学工学会の化学工学論文集に「相変化蓄熱媒体の熱物性と水平密閉矩形容器内の自然対流熱伝達 - 脂肪酸 -」と題して平成27年度内に採録(42巻1号pp.22-29, 2016)され,②の研究コンテンツの一部についても単段型相変化蓄熱熱交換システムを平成27年度内に構築した.すなわち,査読付き研究論文の採録と研究計画の前倒しは,当初の計画以上に進展している何よりの証拠である.その他,日本機械学会や日本伝熱学会が主催する講演会(日本機械学会関東支部茨城講演会や日本伝熱学会伝熱シンポジウム)においても幾つか発表済み(あるいは平成28年度発表予定)である.
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今後の研究の推進方策 |
当該研究の構成要素は,①「専用蓄熱媒体の熱・物理・化学的特性の解明」,②「多段型相変化蓄熱熱交換システムの構築と評価」及び③「蓄熱熱交換システム内部の伝熱・流動現象の解明」である. 平成28年度から平成29年度前半は,多段型相変化蓄熱熱交換システムへの作動流体や伝熱機構の最適化を図るために②と③の研究コンテンツに着手する.平成29年度後半は,研究期間内に培った要素技術の成果を相互に有機的に融合させながら,エネルギーの有効利用や省エネルギー技術の観点から多段型相変化蓄熱熱交換システムの設計指針の確立を図る.
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