2017年4月以降,2016年度3月調査で持ち帰った毒性資料の分析を実施し,その時点での研究成果を取りまとめた2編の論文を執筆した.これらの論文は11月に出版された.また2016年度に執筆した論文が8月に出版された.2017年8月12日~8月26日に乾期現地研究を実施した.8月17日には2016年度3月の現地教員に対する第一回現地報告会に引き続き,Workshop on WASH learning network において研究成果を現地政府関係者,UNESCO,NPOと共有し,今後の方策について議論した.現地における水環境情報が不足していることが改めて浮き彫りになり,UNESCOなどからデータの提供を求められた.モデル化の必要性の有無,下水道計画の実現性などが議論された.また,同滞在期間中,ディリ前面海域の水質調査,人口解析のための土地利用教師データの採取,現地で実施可能な水質浄化手法の教授のための土壌処理・ろ過装置の作成を実施した.9月以降,水質調査結果の整理と人口解析を実施し,とりまとめを進めた. 2018年3月22日~28日には雨期現地研究を実施した.現地では急峻な地形から細粒分の多いろ過砂の入手が難しい.現地教員とともに土壌処理・ろ過用ろ材の探索を実施し,現地で実施可能な水処理方策について議論した.これまでの結果より,ディリ市のやや標高の高い地域では,各戸雨水貯留など積極的に地下水を涵養することを考えること,ディリ市内低地では地下水位が高いことから,現存する空心菜畑などの湿地帯は処理湿地として積極的に利用し,その他の地域では遮水シートなどを利用して表層部の土壌だけを利用する各戸土壌処理を行うこと,飲用水は各戸で緩速ろ過を行うことなどを基本対策とし,東ティモール国立大学でこれらの規格について研究することを今後の課題とした.
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