本研究の目標は,中山間地域で入手可能な杉等の間伐材から,再生可能エネルギーを利用するための蓄電器を作製するできることを実証することであった。また,具体的には,安価にEDLC製造するための装置(小型プラント)に利用する賦活炉を実現することが目標であった。平成28年度には,プロパンガスを熱源とした大型(400L)のアルカリ賦活炉を試作改良して,木炭EDLCの開発を進めた。 29年度は,実際に,島根県内の中山間地域(島根県雲南市吉田町宇山)で農家の倉庫を借り,EDLC製造の実証実験を行った。農家の方に,農作業の傍らアルカリ賦活とEDLC組み立てを行っていただき,木炭EDLC(12セル,1箱,12V,40Wh以上)60箱(1kWh)を製作した。太陽光パネル(50W)とEDLC4箱を組み合わせて利用されるLED照明を商品化し,島根県内で試験的に利用してもらうことができた。 技術的な成果としては,木炭粉末の細粒化を行い,賦活条件を見直したことにより,蓄電容量が1.3倍(2.7Wh/Lから3.5Wh/L)に増加,内部抵抗が約半分(約1Ωから0.4Ω)に低下した。木炭粉末の細粒化の発案は,以下の実験から明らかになった。ドイツの街路樹の栃の実(非食用)を材料にEDLC試作したところ,木炭の1.5倍の蓄電容量が得られることがわかった。この実験結果を賦活前の炭の粒形が基本特性に大きく関係していること考えられた。そこで,木炭粉末は,自動化を考慮して,電動石臼を製作し利用した。その他,試作した木炭EDLCを利用して1kWh級のEDLCの蓄電システムの試作も行った。
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