研究課題/領域番号 |
15K00653
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (50422382)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家庭用水使用量 / インターフェース / 顔文字 / 用途別水使用量 |
研究実績の概要 |
使用者がただ漠然と使用量を「見る」のではなく、使用者に「見せる」ことによって意識そして行動が変化するようなインターフェース開発のため、水使用量についてどのような情報提示を行うことが有効であるかを検討し、またそのための計測機器開発を行った。 2015年4月まで行っていた住友財団環境研究助成「家庭で使用する水の「見える化」プロジェクト」の調査対象家庭8家庭(高消費家庭4家庭、低消費家庭4家庭)に対して半構造化インタビューを行った。当研究では4段階の顔文字により各家庭に対して水使用状況を通知していたが、①顔文字を受け取ることにより当初どのような気持ちになったか、②その気持ちは6か月間の調査継続中にどのように変化したか、③水使用に変化はあったか、④家族の反応はどうだったか、を調査した。調査結果を含む論文を、Cleaner Production (Elsevier)に投稿中である。 並行して、家庭内の用途別水使用量を計測するための機器(タイやベトナムの調査で使用してきた非接触型の音響による水使用量データのロガー)の改良と調整に取り組んだ。日本の家庭内での計測実験を積み重ねてきたが、①キッチンでのディスポーザ使用があると音響での水量測定が不可能になること、②お風呂の水は蛇口からの給水ではなく埋め込み式である家庭が多いこと、③洗面台にもシャワーヘッドがある家庭が多く蛇口で用途を分けることが難しいこと、など日本特有の要件により、機器の改良では水量が測定できないことが明らかになった。そのため、当初予定していた1月からの予備的な計測調査は取りやめ、従来のように家庭全体の水使用量を対象に情報提示実験の準備を進め、2016年度10月から本調査を開始することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
用途別水使用量の計測機器の改良は断念したが、家庭全体の水使用量での提示を行うことに方針を展開し、それに向かって準備を進めることができている。早い段階で不可能な点が明らかになったため、2016年度に開始予定である本調査には影響することはない。 インタビュー調査では興味深い結果を得ることができたため、論文執筆まで到達することができた。
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今後の研究の推進方策 |
情報提示と使用量変化の調査を、100-200家庭を対象に実施する。当初計画では6か月間を予定していたが、先行研究等を勘案すると1年間の調査を行い、水使用ピーク時(夏場)の水使用量変化を把握することも意義があることから、調査期間を1年間にする方向で検討する。また情報提示終了1年後の追跡調査についても検討していく。 調査対象は、調査会社を通して募集することを考えていたが、独自に水使用量のデータロガーを標準装備している住宅群(1000軒程度)があるので、そこでの実験について(株)ビッドパークと交渉中である。 本調査を2016年10月から開始するため、具体的な情報提示方法、調査対象地について、検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭内の用途別水使用量を計測するための機器の改良と調整に取り組んだが、日本特有の要件により、機器の改良では日本での用途別使用水量が測定できないことが明らかになった。そのため用途別使用量での議論ではなく家庭全体の水使用量を対象に実験をすることにした。そのため、機器の改良費用、用途別水使用量を計測する予備実験を行わなかったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年10月から開始する本実験の内容を変更する。現在、3つの可能性を検討している。①サンプル数を増やしてより信頼性の高いデータをとる。②情報提示の条件を増やして、より多くの知見を得る。③調査期間を半年から1年に延ばすことにより、ピーク時(夏季)の使用量変化の観察を行う。
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