研究実績の概要 |
東日本大震災後のエネルギー環境政策に関する対話への市民参加の可能性について、社会調査により明らかにした。具体的には、原子力発電所立地県、電力消費県、及び全国での無作為抽出型市民対話への参加意思について2015年から2017年に毎年インターネットパネルを活用して調査した。(1)多岐に渡る論点についてその背景にある事実、論理、反対意見、価値観について知ろうとする意思、また(2)異なった考えを受け入れなくとも受け止め対話しようとする意思、に着目した。 静岡県及び愛知県(中部電力関係県)で3年間継続して調査を行った。実施時期はいずれも10月である。2016年には、北陸電力関係県(石川県、富山県)でも実施した。2017年には、東京電力関係都県(新潟県、福島県、東京都、神奈川県)、関西電力関係府県(福井県、大阪府、滋賀県)、及び九州電力関係県(鹿児島県、福岡県、熊本県)でも実施した。これら14都府県は、原子力発電所の立地・再稼働状況、福島第一原子力発電所事故の影響、都市化の程度が異なっていることから選択された。のべ14,000人の18歳以上69歳以下の男女が回答した。 その結果、放射性廃棄物管理から政策転換時の移行期間の設定にまで至る、14のさまざまな関連争点について、70-85%の回答者が、知りたい、またはどちらかといえば知りたいと回答した。また、35-40%の回答者が全国または在住県での、エネルギー環境政策に関する無作為抽出型市民対話に参加したい、またはもしかすると参加するかもしれないと回答した。さまざまな争点について知ろうとする意思が強い回答者ほど、市民対話への参加意向が強いことが分かった。エネルギー環境政策に関する国レベルまたは在住県レベルでの無作為抽出型市民対話への参加意向は、一定であるか、または強化している。また、参加意向は在住する県によらない。
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