研究課題/領域番号 |
15K00660
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
三宅 博之 北九州市立大学, 法学部, 教授 (60211596)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 廃棄物管理システム / バングラデシュ / 社会配慮的視点 / 清掃人 / 生活・労働環境 / 有価廃棄物回収人 / ダカ |
研究実績の概要 |
途上国、特にバングラデシュの大都市ダカの廃棄物管理システムの社会配慮的視点を見れば、清掃業・清掃人への差別・偏見の除去、有価廃棄物回収人のフォーマル化、環境教育・地域社会ガバナンスなどに焦点があてられる。研究の1年目に有機廃棄物回収人、特に児童に関する社会経済調査を行った。2年目は清掃業・清掃人に焦点を絞り、8月に事前予備調査と2月に本調査を行う予定であったが、昨年7月にISによる外国人殺害事件(JICA専門家が7人射殺)がダカで起こり、バングラデシュへの渡航は制限された。よって、事前予備調査を8月から2月に延期せざるを得なかった。 2月には、同じベンガルに位置するインドのコルカタでの清掃人に簡単なインタビューを行い、労働環境の比較を行った。ダカでは事前予備調査を行った。元JICA廃棄物管理改善事業チームの補佐役ショリフから近年の動向の変化を聞き、特に、スラムのようなコロニーが6階建てのマンションに建て替えられ、今とは全く生活環境になるとの情報をつかんだ。清掃人への差別や偏見を取り除くには生活・労働環境の改善は重要である。また、研究協力者のバングラデシュのBRAC大学のモシュミ・ザフル(Moushumi Zahur)助教授と一緒にガブトリ清掃人コロニーに毎日出かけた。同地ではコロニー代表に調査の趣旨説明を行い、本調査の協力への理解を求めた。ヒンドゥーの清掃人の代表にも会い、了解を得た。コロニーのライフラインに関しては、共同水道・トイレも完備していた。ムスリムの清掃人に比べ、少数派のヒンドゥーは片隅で静かに暮らしている。清掃人以外の家族成員の職業幅もムスリムが広く、ヒンドゥーは狭い職業選択の幅であった。家の番号を確認、どの家々にアンケート調査をするか、それらを決定した。北ダカ市役所では幹部職員よりこの間の労働・生活環境の変化について聞き取りをした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目は、廃棄物管理システムの社会配慮的視点の清掃人・清掃業への差別や偏見がどのように形作られているのかを調べるために、8月にバングラデシュのダカに足を運び、事前調査、2月に本調査を行う予定であった。しかし、7月にダカではISに影響を受けた武装集団によって、JICA専門家7人を含む外国人多数が殺害される事件が起きた。その結果、バングラデシュへの渡航が制限され、現地での事前予備調査を半年遅らせざるを得なくなった。2月に行った事前予備調査では清掃人コロニーの代表者に調査の主旨を説明し、許可及び協力の約束を得た。 同時に、1年目にある程度まとめようと考えていた有価廃棄物回収児童の調査の整理が少し手間取り、また、収集した文献にすべて目を通していない状況である。このような結果、予定していた計画より多少遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に行った有価廃棄物回収児童の実態調査については、結果の整理と文献資料の読了が少し遅れているが、7月には広島大学で開かれる南アジア研究会にて発表する予定で、様々な意見や質問を収集し、さらに内容を改善していく予定である。2年目の2月に行う予定であった本調査は、IS武装集団の外国人殺害事件の影響もあり、半年延長し、9月に行う予定である。 2月に行った事前予備調査の際に探した本調査協力予定メンバーとメールで連絡を取り合っており、同時に、本調査用の質問票を作成している最中である。9月に本調査を行い、データ入力を行い、結果を整理、間に合えば、2018年1月にバングラデシュのダカのジャハンギールノゴル大学で開かれる国際ベンガル学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
事業計画の進捗状況欄にも記したが、2年目(平成28年度)に事前予備調査と本調査を行う予定が、バングラデシュの首都ダカにてISによる法人殺害事件の影響で渡航制限がかかり、予備調査しかできなかった。よって、本調査分の予算が浮いた形になっている。
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次年度使用額の使用計画 |
3年目(平成29年度)は2年目に行う予定であった本調査を実施すると同時に、5カ月後(平成30年1月)にバングラデシュのダカで開催予定の国際ベンガル学会で調査結果を発表する予定である。その際に、可能であれば、3年目に予定していた地域社会内の廃棄物管理に関するガバナンス調査の事前調査を行いたい。
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