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2015 年度 実施状況報告書

予期せぬ技術利用停止(撤退)に対応できるレジリエントな環境エネルギーシステム戦略

研究課題

研究課題/領域番号 15K00667
研究機関立命館大学

研究代表者

小杉 隆信  立命館大学, 政策科学部, 教授 (30273725)

研究分担者 小幡 範雄  立命館大学, 政策科学部, 教授 (70224300)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードエネルギー・環境システム / 技術政策分析
研究実績の概要

エネルギー・環境に関する技術には、導入時には予期・想定しなかった環境上・安全上の懸念が浮上して利用停止に追い込まれ、停止後にさまざまな影響・混乱をもたらすリスクがある。そこで本研究では、一部の技術が予期せず停止(撤退)することになったとしても健全性をできるだけ確保できるという意味でレジリエントな、エネルギー・環境技術全体としてのシステム戦略を検討することを目的とする。
この目的の達成に向けて、平成27年度は、3年計画の初年度として、1、過去に生じた技術利用停止の影響に関する検証と、2、将来の利用停止リスクのある大規模技術の利用戦略に関するモデルを用いた分析評価について、それぞれ基礎的な調査研究を実施した。
実施項目1、としては、エネルギー・環境関連製品の「工業統計調査」に基づく過去の出荷量減少の状況に関する体系的整理に加えて、ダイオキシン類規制による旧式廃棄物焼却炉のフェーズアウトの影響に関する文献調査等を行った。フェーズアウトの状況・特徴をさまざまな評価軸から明らかにし、国内において特に影響が大きかったと思われる技術として、(1990年代以降の)石綿製品と旧式廃棄物焼却炉、(2011年度から4年間の)原子力発電を抽出した。
実施項目2、としては、対象技術として原子力発電を取り上げ、将来の大事故再発による全停止リスクを考慮した場合における原子力発電の利用戦略を、期待費用最小化原理に基づく電源構成モデルで導き出すための方法論を検討し、その適用を試みた。
上記のいずれの実施内容も、停止(撤退)の可能性を考慮した場合のエネルギー・環境技術全体としてのレジリエントなシステム戦略を構築するための基礎的知見を与えるものと位置付けられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

国内における過去のエネルギー・環境技術のフェーズアウト事例を網羅的に調査し、それらの原因、特徴、影響等に関する基礎的検証を実施した。さらに、将来の大事故再発による利用停止リスクを考慮した場合の原子力発電の利用戦略について検討するための電源構成モデルの開発を行った。特に、後者の進捗は当初計画を超えて順調であった。

今後の研究の推進方策

国内において比較的社会的影響が大きいと見積もられた1990年代以降の石綿製品と2011年度から4年間の原子力発電の利用停止に着目し、それぞれの利用停止の規模・スピード、その代替状況等の追加的な調査を通して、生じた好影響・悪影響を定量的に詳しく分析する。また、それらの影響は、停止スピードといった停止のパターンによってどう変化しうるか、あるいは、悪影響を小さくできるような停止のパターンはいかなるものか、などについて数理モデルを用いて分析を行うための手法の検討を試みたい。

次年度使用額が生じた理由

当該年度においては、当初の計画よりも文献調査、統計分析、モデル開発等に重点を置くこととなり、その分、出張による情報収集の機会が計画よりも減ったため。

次年度使用額の使用計画

次年度においては、国内外の複数の学術集会等に参加して情報収集および成果の発信を行う予定であり、計画以上に出張旅費を支出することになる見通しである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Endogenizing the probability of nuclear exit in an optimal power-generation mix model2016

    • 著者名/発表者名
      Takanobu Kosugi
    • 雑誌名

      Energy

      巻: 100 ページ: 102-114

    • DOI

      10.1016/j.energy.2016.01.083

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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