研究課題
基盤研究(C)
一般的に自然保護区と称される保護地域のなかで、特に民有地において複数の区画にまたがり、所有や利用の形態も多様な性質をもつものについて、理論と実例の両面から検証をおこなった。コスタリカの農村における共有林、北海道東部の河川流域における住民主体の流域再生、カナダにおける住民主導の生物圏保存地域の登録・運営などの事例から、地域住民が自ら組織化し、外部の主体から知識・技術・資金などの支援を得て、地域づくりと自然環境保全を両立させるような保護地域運営をおこなうことが可能であることを示した。
環境政策・環境社会システム
米国のイエローストーン国立公園に始まる近代的な自然保護区が、自然環境保全の名のもとに先住民を含む地域住民の福利を犠牲にするものであるという批判があるなかで、地域住民側が自然保護区という制度をむしろ積極的に活用することで、自然環境保全と地域づくりを両立させる仕組みを生み出すことが可能であることを、コモンズ論などからの学術的な視座を踏まえたうえで、実際の現場での事例の検証と結び付けたことに本研究の最大の特徴がある。