これまでの研究で,肌色がアイシャドウ色に同化して見える可能性を示した。これは,人体上に起こる錯視のエコー錯視の一例と考えられる。本研究は,この肌色誘導現象の特徴を明らかにし,化粧法の提言を行った。研究法としては,平均顔CGを用い,主に一対比較法,調整法と恒常法で測定した。 結論として,1)アイシャドウや口紅で,肌の黄みや赤み,明るさは違って見え,基本的に化粧料色と同方向に変化する,2)アイシャドウの効果は,目周りで強く起きる,3)口紅の効果は,顔のより広範囲に及ぶ,4)口紅は,その赤みが肌を白く見せ,最大ΔE*=2の可能性がある,5)本現象は知覚現象であり,化粧の美的印象とは別の事象である。
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