研究課題/領域番号 |
15K00681
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀 繁 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (90143403)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホスピタリティ・デザイン / ホスピタリティディベロップメント / 景観デザイン / 商店街活性化 / まちづくり |
研究実績の概要 |
地域を支えてきた商店街や観光地の多くが集客に苦戦しているが、集客に成功している商店街などを観察すると、「人をもてなす表現」すなわち「ホスピタリティ表現」が町全体に多く、逆に集客していない所ではホスピタリティ表現が弱く、少ないことがわかる。 つまり「人をもてなす表現」の有無や量や質が、集客地の魅力、集客にかかわっていると考えられる。 そこで本研究は「ホスピタリティ表現」を使ったまちづくりの方策を考究しようとするものである。まちは道と沿道からなるが、両者は管理主体、整備方法などが全く異なるのでこれらを分け、本年度は今まで調査をしてきた多客商店街、観光地を対象に、両者のホスピタリティ表現の分析をおこなった。 道については、平面線形(等・不等幅員状況、曲線路・直線路、スラローム、シケイン、交差部など)、横断構成(歩車境界状況、歩車幅員、施設帯と設置物の有無など)、要素デザイン(歩車道舗装、着座装置、縁石、横断防止柵、車止め、照明柱、地上器、樹木など)を整理した。その結果、平面図で把握できる型の基本形状や幅員などの数値よりも、その型をその場にきめ細かく合わせた形の丁寧さがより重要であることが分かってきた。 沿道は集客に関係する店舗を対象に、店前スペース(有無と広さ、特に奥行き幅、舗装)、店前演出物(挨拶・迎客・集客の各装置の種類、数量と質)、店内の見え(壁など見えない部分と見える部分との割合、見え方など)などを整理した。その結果、「手抜いているか、丁寧にやっているか」、の判断にかかわるようなところの数量や質が重要であることが改めてわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでにストックしてきた画像データが多くあったために、今回の現地調査事例の分析に比較検討が可能で、各事例の特徴抽出がより正確に、より速く出来た。 これが、当初計画以上に進展している大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は既存資料の整理・分析に追われ、現地調査は近場しか行えなかったが、整理分析にあたってのポイントがかなりわかってきたので、次年度は遠隔地の現地調査もおこない、道路については空間の分析を進め、沿道については店前演出の分析を進め、さらには「まちづくり」の観点から両者を整理していく。 また、公共空間については、道路だけでなく、ポケットパークや小公園など、休憩施設の重要性もわかってきたので、この分析も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査よりも今までにストックしてきたデータの整理・分析が先行的に必要と判断して、近場以外の現地調査は行わなかった。そのため、旅費を使わなかった。また、現地調査補助員の雇用もそれに合わせて必要がなくなり、また分析補助員の雇用がうまくいかず、そのぶん人件費が使えなかった。 以上の状況もあって、ホスピタリティ表現の重要なポイントが整理されてから現地調査と分析補助員雇用をおこなった方が良いと年度途中に判断し、当初計画を組み替えた。
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次年度使用額の使用計画 |
ホスピタリティ表現の整理手法や勘どころについてかなり分わかってきたので、次年度は、遠隔地の現地調査を進め、それに伴い現地調査と分析の補助員の雇用をおこない、旅費90万円、人件費100万円を使用する予定である。
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