研究課題/領域番号 |
15K00694
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
藤本 英子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (60336724)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自転車通行環境 / ピクトグラム / 景観 / デザインガイドライン / 色彩分析 / 京都の景観 |
研究実績の概要 |
■ 現場調査の分析/ 本研究の初年度である平成27年度に調査をした国内、および欧州7カ国16都市での自転車通行環境デザイン調査の結果を、自転車政策、自転車活用生活の実体等のとりまとめを行なった。また、現場写真に基づき「デジタル画像色分析システム」を活用した自転車通行環境整備現場の色彩分析を行い、路面表記と周辺環境色彩の関係性を明らかにした。 ■ 京都市自転車環境整備での実践 平成27年度の自転車路面表記簡易実験とアンケートに基づき、平成28年10月に「京都市自転車走行環境整備ガイドライン」が取りまとめられた。その中で本研究者は、自転車走行環境のオリジナルピクトをデザインした。自転車専用通行帯、幹線道路、準幹線道路、生活道路毎に矢印、矢羽根、自転車マークの決定。交差点での注意喚起マーク、バス停での注意喚起マークをそれぞれ、これまでの他事例調査研究分析を踏まえ、京都市にふさわしいオリジナルデザインとして展開し、順次施工されている。 ■ 研究成果の発信等 「自転車通行環境のデザインガイドライン」策定に向けて、これまで学会での発表、毎年各地で開催される「自転車利用環境向上会議」での発表や意見交換、NPO法人自転車活用推進研究会での発表や意見交換、フィンランドで開催された国際学会での研究意見交換を行なった。引き続き先進事例の現場調査を通じて、デザインガイドライン策定への準備を進めている。平成28年12月、国での自転車活用推進法の成立(平成29年6月施行)の整備を受け、全国的に自転車環境整備が急速に進められる予定で、成果を活かすタイミングが将に来ている。大阪府堺市では、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録を目指す地域において、課題になっていた自転車通行環境整備の色彩について、本研究の成果を生かしたアドバイスも行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に、当初平成28年度に予定をしていた京都市での、自転車通行環境の整備地区実験施工、およびアンケートによる検証が実施できるに至り、平成28年度は現場での施工実施が、進む状況になったため、予定していた実践での研究成果の活用が行なわれている。 また、研究成果の他都市での活用も進みつつあり、国の法律成立、施行にもタイミングが合い、今後研究成果の活用が期待される。 平成28年度は、発表予定の学会で実行委員長を務めるなど、外部での発表機会が持ちにくい状況になったが、最終成果発表に向けての準備を進めているため、最終年度での成果に問題はない範囲である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に基づき下記にまとめる (1)自転車通行環境のデザインガイドライン(冊子)の作成/本研究の成果をまとめた冊子を、全国の基礎自治体レベルでも活用が進められるような分かりやすい内容で作成する。 (2)作成した「自転車通行環境のデザインガイドライン(冊子)」の活用と研究成果の発信による普及啓発/自転車活用推進法の施行を受けて、関心を寄せる全国自治体を中心に、冊子による研究成果の情報発信を行なう。全国組織であるNPO自転車活用推進研究会および、自転車利用環境向上会議などを通じた成果発表、求められる活用現場でのガイドラインの活用を行なう。 (3)2020年を見据えた公共空間デザインの課題分析/これまで都市中心部での自転車通行環境整備が進められてきたが、自転車活用推進法の成立を受けて、様々な視点での自転車活用が今後進む予定である。都市部から周辺への自転車ツーリズム展開のための環境整備も進みつつある中、公共空間デザインの視点では、自然景観が豊かな中での自転車通行環境整備も課題としてあげられる。現在、この分野の予備的な観測調査を進めているが、最終年度この調査もさらに進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表発表が、予定通り行なえなかったために、出張旅費が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を積極的に広げるために、各地への出張旅費。海外との情報交流のための出張旅費。 公共空間デザインの、新たな課題についての予備調査出張旅費として活用する。 最終報告書作成作業のための編集費用として活用する。
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