研究課題/領域番号 |
15K00706
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
浅野 晃 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60243987)
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研究分担者 |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60377108)
浅野 千恵 (村木千恵) 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (00299174)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感性 / 感性計測 / 感性デザイン / テキスタイル / ドレープ / 色彩 / 配色 |
研究実績の概要 |
28年度は,デザインにおける「説明」と「解決」の問題の鍵となるいくつかの実験を行い,以下の知見を得た。 (1) 27年度に実施した布地のドレープ(ひだ)についての研究に関して,さらにドレープを一般の閉曲線に発展させて,各種の閉曲線を被験者に呈示したときの反応を調べた。この研究では,小型生体センサーを用いて心電を測定し,心拍の変化から推定される自律神経活性度を用いて,反応の客観的な測定を可能にした。この結果,呈示される曲線の変化のしかたによって活性度に違いが見られ,曲線の形状において「説明」や「解決」が人の関心をひくことが示唆された。 (2) 文字の配置の乱れと文章の読みやすさとの関係を,同じ文字の配列の中にひとつだけ似ているが異なる文字が混じっている状況で,異なる文字を発見する実験によって調べた。その結果,配置が整列されているときに発見しやすいだけでなく,発見するまでの時間に大きく影響する特定の並び方があることがわかった。 (3) 色彩に関する応用研究においても,経験上調和した配色を呈示した場合と,その配色に向かって動的に変化する配色を呈示した場合とで,後者のほうが調和しているという印象をより強められる場合があることがわかった。このことは,色彩においても「解決」という現象が存在することを示唆している。 (4) 図形に色彩を配置する課題において,使用される範囲の広さが図形によって異なること,さらに,対称な図形に配色する際の色彩の対称性が図形の方向に影響されることを,実験によって示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】に記述した通り,28年度においては,感性デザインにおける「説明」と「解決」の問題の鍵となる,各種の実験結果を得た。この結果は,27年度の「研究実施状況報告書」で述べた計画を十分に満たしている。また,当初計画になかった生体センサーによる測定が実現し,より客観的な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は,28年度に得た各種の知見を,国際学会等で発表する。また,海外の大学との意見交換も予定している。さらに,28年度に実験によって得た結果を統合し,さまざまな対象物に共通する,より一般的な知見を得るための研究を進める。これにより,本研究課題の目標が最終的に達成される。
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次年度使用額が生じた理由 |
英国での国際研究集会に参加する際,大幅な円高・英ポンド安が生じ,会議登録料等が予定よりも安く済んだことが大きな原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度に発表が確定している国際学会・発表を予定している国際学会がいくつかあるので,28年度からの繰り越し額と29年度の配分額を合算して,旅費・会議登録料として使用する。
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