研究課題/領域番号 |
15K00710
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
石崎 真紀子 兵庫医療大学, 薬学部, 研究員 (20623979)
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研究分担者 |
前田 初男 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬剤デザイン / 減災 / 識別性 / 色彩連想 |
研究実績の概要 |
1.錠剤の色彩調査。大震災などの災害直後、お薬手帳を消失した患者に、定期服用薬を速やかに手配するためには、お薬の飲み方や名前、外観を患者自身から詳しく聞き取ることが重要となる。現在の日本の薬剤の外観、特に色が、加齢によって視力や記憶力が低下した高齢患者にとって、覚えやすく識別しやすい色となっているか、実態を調査した。国内製薬会社6社の添付文書集に掲載されている錠剤写真(先発品製薬会社4社336錠、後発品製薬会社2社787錠)と、比較するために米国処方薬、PDR(Physicians' Desk Reference)に掲載している錠剤写真274錠を、色票に読み替え分光測色計で測色した。その数値をL*a*b*表色系にマッピングし、2011年調査時と比較過程にあるが、現状錠剤の色彩分布が白や白に近似する色が多いこと、高齢患者にとって識別性が低く、記憶しがたい状況であることが予見できた。 2.言語色彩同定法についての妥当性の検討。薬剤の色を聞けば、その薬の種類や薬効が判別できる薬剤デザインの設計を目指し、「薬効」と「薬の色」を心理的作用から関連付けする方法として、言語色彩同定法が有効であると文献等から決定した。その後、薬剤師の実務経験者の協力を得て、薬効を示す言語について調べた。その結果「薬が効く部位」を示す言語、「薬の効き方」を示す言語、「一般的な病名」を示す言語の採用を決定した。 3.同定する「色彩」についての考察。先行文献、論文等を参考に、45色から75色の色彩を見本として示すことが妥当だと考えた。また、学内の学生を対象にある言葉からイメージする色彩を選定する調査を行った結果、45色以上であっても選定に無理がないという感触が得られた。当該実験においても、75色を目処にできるだけ多くの色彩を色見本に採用することに決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語色彩同定法による調査実験を平成27年度に一部開始する予定であったが、調査方法について、SD法(意味微分法)の有効性なども視野に入れ検討した結果、実験の開始が平成28年度になった。現在、倫理審査委員会へ実験について申請しており、承認され次第進めていく所存である。 また、現状の錠剤と薬効の関連性に関しても、測色結果から分析をしており、ほぼ予定どおり進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1.言語色彩同定法による色彩調査を実施する。研究対象者は、18歳~65歳以上の高齢者まで60人~100人程度を目標に調査し、回収した回答を集計・統計分析し、有意に特定の「色彩」と関連づけられる「薬剤が効く部位」や「薬剤の効き方」を検証する。 2.得られた結果について、カラーユニバーサルデザインの視点で、白内障については、強度を想定した白内障疑似ゴーグル(Panasonic社製)での検証、色弱についてはNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の協力を得て検証する。 3.薬剤デザイン設計を構築する。言語色彩同定法により、関連づけた「薬の効く部位」を表す言語と「色彩」、「薬の効き方」と「色彩」をもとに、薬剤本体の色彩デザイン、薬の本体に施される印字(薬名などや規格が表示)の色彩、薬のパッケージ(PTPシート)の色彩デザインモデルを設計する。また、得られた成果のデザイン案をより分かり易く、見やすい形でグラフィックデザイナー等に視覚化させ、薬学生、薬局薬剤師、製薬会社などの意見、評価を得た上で学会発表し、今後の課題へ発展させる。 4.新しい薬剤設計に関する動向、医療現場、災害現場における薬剤のニーズ、心理的色彩調査の方法などについて、学会、先行論文、文献、セミナーなどから最新情報の収集を行い、考察及び今後の課題の発展につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬効から色彩を連想させる調査方法について、当初の言語色彩同定法に加え、SD法を組み入れる検討に時間を要した結果、平成27年度中に一部執行予定であった実験が平成28年度になったため、実験実施にともなう予算が全て未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
言語色彩同定法の実施にともなう実験用資材の調達費(色見本の調色費用)や協力者に対する謝礼として使用するほか、調査文献費、消耗品費、調査研究や研究成果発表のための旅費を含む諸費用、情報収集費として使用する予定である。
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