研究課題/領域番号 |
15K00710
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
石崎 真紀子 兵庫医療大学, 薬学部, 研究員 (20623979)
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研究分担者 |
前田 初男 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 色彩連想 / ユニバーサルデザイン / 安全安心 / 薬剤設計 |
研究実績の概要 |
言語色彩同定法の調査の実施にあたり、薬剤が効く身体部位の名称、「心臓」「肺」「胃腸」など12言語、薬剤の効き方を表す言語、「すっきりする」「軽くなる」「早く効く」など12言語、病名をあらわす「糖尿病」「リウマチ」「高脂血症」など13言語を決定した。また、同定する色彩として、高明度低彩度のペールトーン、高明度中彩度のライトトーン、中明度高彩度のビビッドトーン、低明度中彩度のダークトーン、中明度低彩度グレイッシュトーンから、それぞれ代表的な色相、赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青、青紫、赤紫、無彩色の白、灰色、黒の合計43色を選定し、調色色紙から色見本を作成した。 150名(18歳以上30歳未満54人、30歳代14人、40歳代7人、50歳代2人、60歳代43人、70歳代25人、80歳代1人、不明4人)の被験者に対し、研究の趣旨を説明、同意書に署名を得た上で、37の言語それぞれからイメージする色彩を43色の中から選択させ、その番号を、イメージできないものは0と書かせる実験を行った。次年度については、得られたデータを得点化し、有意な差で同定された色彩と言語があるかを検証する。その結果から、災害時や、緊急時はもとより、日常の医療や調剤の現場で、服薬や投薬の安全安心に寄与するデザイン設計のプロトタイプの提案が可能か考察する予定である。 また、白と白に近似した色彩が多いため、識別性が低いと予見できた国内製薬会社の錠剤1127錠について、先発品、後発品とも色の三属性(色相、明度、彩度)ごとに色彩分布を明らかにしたところ、明度9以上に約7割、彩度1以下に約7割が分布し、無彩色の白、色みがやや感じられる程度のごく薄い灰色に偏っていることが明らかになった。薬効などとの関連性がないことが予測される。この点について、特定の薬の色傾向も含め、明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査実施にあたり、若い被験者だけでなく薬剤を普段服用している可能性の高い高齢者のデータも十分に得る必要があるため、5団体の組織やグループに実験への参加を依頼するなど、被験者のリクルートに時間を要したため、今年度末もしくは平成28年度末までにデータ解析をする予定であったものがやや遅れた。しかし、当初予定を上回る150人から調査データが回収できたため、解析結果の精度が上がるものと期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、データの解析を進め、薬剤の効く部位、薬剤の効き方、病名などに対して、他の色と有意な差で同定された色の有無、色の展開など、その結果を考察し、災害時での有効な記憶に残る薬剤色やパッケージの色彩をはじめ、医療環境などの色彩設計に活用するモデルを構築する。また、カラーユニバーサルデザイン的見地から、同定された色について、色覚の異なる色弱や白内障疑似モデルでの見え方なども検証し、見え方の変化と識別性を検証する。 また、2012年、研究代表者らは研究で薬効と錠剤色彩との関係性がないことを見出しているが、現在もその傾向が変化していないことを明らかにすべく、再度、1127錠の国内錠剤を測色し薬効ごとに色彩分布を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定どおりに支出したが、購入予定の図書が廃刊で購入できなかったこともあり、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は調査したデータの分析結果を色彩心理学的な見地から考察する必要があるため、先行研究論文をはじめ、専門図書や日本色彩学会、日本薬学会等での情報収集、またカラーユニバーサル視点から結果を分析するための調査、結果を薬剤設計に生かすためのデザイン案の作成などに支出する予定である。
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