研究課題/領域番号 |
15K00713
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
中薗 哲也 崇城大学, 工学部, 准教授 (70635656)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然災害 / 熊本地震 / セルフビルド / モバイル建築 / 避難施設 / 被災地 / 難民キャンプ / 乾式工法 |
研究実績の概要 |
具体的な設計を行うにあたり、被災地などの条件をより正確に把握するために、熊本地震、広島土砂災害、東日本大震災における被災直後の、被災者の避難状況・避難施設、行政の救援活動のより詳細な調査を行った。特に熊本地震においては、行政、消防署へのヒアリングなども行うことで、想定外の問題や要望などを掘り起こすことができた。 その結果として、被災直後の余震が続く中避難者は避難場所として用意されている建物さえ恐怖を感じ、心理的不安から建物内部での避難ができない方が多数存在するということが分かった。そして、行政が指定した安全とされる避難建物自体は壊れていなくても、建物内部の二次部材が落下することで危険があるため、災害時使えない避難所が多数存在した。そのような理由から屋外で避難する方に対して民営の企業等がレジャーテントで対応したが、それらは発災から10日後にできた。しかも、テント村で使ったテント内は、日中気温が30℃を超え、熱中症になる恐れがあるため、行政から閉鎖の命令があって、レジャーテントはある特定の地域かつ特定の季節しか対応できないと考えられる。 全国の消防署はエアーテントを所有しており、被災直後瞬時に設営できるが、高価で一般人が設営することは非常に難しい構造である。その結果以下の条件を元に現在実施設計を行っている。 ①建築費の低コスト。②短時間で、用意に組立できる。③専門技術者や重機必要としない。④大小さまざまな空間に対応できる。⑤快適な温熱環境の確保。⑥通風がいい。⑦最小備蓄倉庫で保管可能な各部材の適正な寸法確保。 特に保管方法は重要な問題だが、行政から意見で公園等に設置されている備蓄倉庫へ保管できることが重要だとわかった。この備蓄倉庫には既成の商品を使用していることが多いので、これらの大きさや形状から逆算した寸法計画を行うこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施設計を行うに当たり、状況調査をより詳細に、また様々な状況を想定する必要があると考え、当初の計画よりもこの作業により時間を割いたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査で整理できた設計条件 ①建築費の低コスト。②短時間で、用意に組立できる。③専門技術者や重機必要としない。④大小さまざまな空間に対応できる。⑤快適な温熱環境の確保。⑥通風がいい。⑦最小備蓄倉庫で保管可能な各部材の適正な寸法確保。 これらを元に実施設計を行う。 実施設計を行うと同時に、室内の温熱環境は一時的な避難施設ではあるが、非常に重要な要素であるため、CFD解析を行うことで室内の温熱環境の把握と向上に向け設計に反映させる。 以上の実施設計が完成した時点でモックアップを作製し、建築する際の作業性、合理性、経済性、内部空間の居住性などを実際に確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも被災地の現況調査業務を幅広くかつ詳細に行う計画にしたことで、モックアップの作製や設計業務で計画していた人件費や謝金の支払いがなくなり、次年度にその費用を廻すことにしたため。 次年度は、実施設計(主に構造設計)に伴う人件費、モックアップ製作にかかる材料費および謝金・人件費などを予定している。
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