研究課題/領域番号 |
15K00714
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研究機関 | 鳥取短期大学 |
研究代表者 |
杉山 陽二 鳥取短期大学, その他部局等, 教授 (60460614)
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研究分担者 |
前田 夏樹 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授 (40353099)
倉恒 俊一 鳥取短期大学, その他部局等, 教授 (40638615)
佐藤 光友 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授 (40739984) [辞退]
河村 壮一郎 鳥取短期大学, その他部局等, 教授 (80249523)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 工業デザイン / ユニバーサルデザイン / 人間工学 / 認知科学 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究では,「高齢者・障がい者のユニバーサル食器類や食事支援製品の開発」に加え,当該ユーザが「いつまでも美味しく安全に,そして心地よく食べること」,つまり誤嚥しないために「正しい食事姿勢」をとることが重要となる.特に高齢者に多くみられる円背(猫背)や体幹の傾きがあると不良姿勢となり,誤嚥の危険性が高くなる. そこで,本年度の主たる研究は,土踏まずの形成を促進や外反母趾の矯正,趾の力の強化に効果的であるという報告がある鼻緒付トレーニング用履物(以下,トレーニング用履物)を活用し,体幹の傾きの矯正や立位姿勢における前屈バランス(可動域)の改善について検証した. 実験方法は,被験者にトレーニング用履物を一定期間,家内で着用してもらった.その後に,ファンクショナルリーチテスト(以下,FRT)およびFRT時の足圧計測による重心移動の分析を行いながら,足圧や足の握力などで改善が認められるかの検証を行なった.その結果,姿勢については,トレーニング用履物の着用前後で改善された被験者が9名(60%)見られた. 被験者の中には,FRTで37.5cmから54.5cmと45%向上した人や,補正重心の前方移動距離で1.9cmから3.8cmと100%向上した人も見られた.全体としては,FRTで9.5%,補正重心の前方移動距離で16.5%の向上があり,トレーニング履物によりFRTおよび補正重心の前方移動距離のどちらにおいても伸びる傾向が見られた(p<0.05).これらのことから,トレーニング履物の着用は,バランス力を向上させる効果が期待できるとともに,食事時の着座姿勢を良くさせる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者によるトレーニング用履物着用実験により,FRTや重心移動距離の伸長から,そのバランス力の改善や姿勢の改善が期待できることが分かった. 今後,本研究で行ったFRTの実験手法の検証を進めると同時に,本研究で得られた計測データの活用により,食事支援製品関連の開発以外に,体幹矯正に有効であろう姿勢矯正シート等のデザイン開発にも取り組んで行く必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,立位姿勢による前屈(バランス)可動域のFRT評価であったが,今後の研究では,着座時の体幹姿勢が食事時の「心地よさ」にどのような影響を与えるのか,そのデータ分析技術を検討する. 具体的には,食事用椅子に設置した姿勢矯正シート上に着座しながら,新たに開発を行う食事用支援食器を使用した被験者実験を実施する.姿勢矯正シートは既製品を使用し,足圧分布測定器,アンケート,インタビュー等による定量・定性評価を行いながら,その有効性について検討をする.また食器類については,茶碗,皿,カトラリー等に加え,箸,配膳トレィーなども視野に入れながら,直接観察法による食事時における「心地よさ」について検証する.
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