研究課題/領域番号 |
15K00714
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
杉山 陽二 安田女子大学, 家政学部, 教授 (60460614)
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研究分担者 |
前田 夏樹 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (40353099)
倉恒 俊一 鳥取短期大学, その他部局等, 教授(移行) (40638615)
佐藤 光友 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (40739984) [辞退]
河村 壮一郎 鳥取短期大学, その他部局等, 教授(移行) (80249523)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 工業デザイン / ユニバーサルデザイン / 人間工学 / 認知科学 |
研究実績の概要 |
昨年度の研究結果において、誤嚥を防ぐためには正しい姿勢で食事をしなければならない。そのためには浮き趾を改善し、身体バランスを保つことが有効であることがわかった。そこで、本年度の研究では、食事時の上半身可動域をバランスよく無理なく移動するために、足の裏と足趾をしっかり地面に固定することができる傾斜を持った脚部安定板プロトタイプの制作を実施した。素材についてはEVA(スポンジ)樹脂とMDF(人工木材)を使用した。それぞれの使用テストにおける素材の主観評価ついては、前者は、サンダルで使用する素材であるため吸湿性と足の裏全体を包み込む感があるものの、足趾の力が分散し、身体のバランスが取れにくく不安定であった。また、後者については接地・移動時に重い、また素足で使用したときに冷たい、滑るなどの体感的な評価は悪かったものの、バランスが取りやすい、足趾に力がかかりやすいなど使用時における評価が高かった。 次に、3Dプリンターを活用して、食器関連のプロトタイプを制作した。具体的には、上面は正円形で、糸尻(接地面)方向に徐々に楕円形に変形する飯器・平皿のデザイン開発を行った。加えて、当該容器に付加するために、食器類に多く使用されている日本伝統文様のデザイン案を調査・収集し、「落ち着いた」「すっきりとした」「上品な」「楽しそうな」など20の項目について、その感性評価テストを実施した。分析手法は数量化第3類を応用し、クラスター分析を行った。その結果、「伝統的」「上品」「高級な」等のクラスターに評価が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食器関係の使用者テスト、ならびに絵柄関係の感性評価テストは順調に進捗中である。また、「ユニバーサル食器」の開発に必要な高齢者諸特性のデータ収集と活用方法の確認、開発製品に関する特性について,その計測・分析・評価手法の検討を行っている。 脚部安定板プロトタイプに使用する素材の安全性についての調査、加えて知的財産権(意匠権)については、安田女子大学(杉山)の所有とするが、製作過程で発生するディテール等の特許・実新についてはプロトタイプ製作会社と安田女子大学(杉山)で共有することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
脚部安定板については、素材(FVA、MDF素材)ならびに再度、傾斜角度(現在は10°)のデザイン案を検討し、実験計画法にもとづきながら最適な傾斜角度を検証する。併せて、これまでに作成した食器プロトタイプを活用して使用者テストを実施し、使いやすさ(心地よさ)に関する要因を特定するとともに、人権に配慮したモノづくりについて障がいを持つユーザーの身体的・心理的負担を軽減することができる食器の開発についても取り組む。また、容器に付加する絵柄については、和柄以外にも具体的な花柄模様についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
脚部安定板による使用者テストにおいて、被験者を確保することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
①使用者テストにおける脚部安定板プロトタイプの制作費、ならびに当該テストを実施するための被験者確保とその謝金に使用する。 ②研究結果の報告会・学会出席のための旅費交通費に使用。
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