研究課題/領域番号 |
15K00718
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕紀子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00272740)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 女性教員 / キャリア形成 / 就業継続 / 学校管理職 / 出産・子育て経験 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、茨城県女性校長・教頭会を通じて、質問紙調査(「女性教員の就業継続とキャリア形成に関する調査」)を実施した。 調査対象者は、茨城県内の公立小中学校に勤務する女性学校管理職教員232名である。対象者の内わけは、公立小学校の女性校長93名、同副校長2名、同教頭105名、公立中学校の女性校長16名、同教頭16名である。このうち、134名から調査票を回収し(回収率57.8%)、不備のあった1票を除き、133票を有効回答数とした(有効回答率52.8%)。調査内容は、「教員としての経歴と家族キャリア」、「家族形成のための仕事の調整経験」、「教員生活においての苦労」、「学校管理職となった現在の生活における苦労」、「教員としての力量形成に役立ったこと」、「学校管理職としての力量形成に役立ったこと」、「教員生活における出産・子育て経験の影響」、「生活時間」等である。 調査結果からは、①女性教員の初任校は小学校と中学校で有意差はないにも関わらず(p>.05)、初任校が中学校の教員のうち約7割が子育て期に小学校に異動し、学校管理職としての勤務校が小学校である教員が全体の8割を超えていること、②出産・子育て経験のある女性教員の77.5%は親との同居・近居を経験し、親族によるインフォーマルな支援に支えられているため、子育て期に子どもの生活を優先させるために自身の仕事を制限したことを自覚している教員は8.9%にとどまっていること、③出産・子育て経験を、キャリア形成への阻害、職務阻害といったマイナス要因としてとらえている女性教員の割合は低く、むしろ児童や保護者の理解促進、内的充実の促進といったプラスの要因としてとらえている女性教員の割合が高いこと、④しかし、末子出産年齢が高いとキャリア形成への阻害感を有意に高めていること、等が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一に、調査票の配布が遅れたためである。当初の予定では、研修会を通じて全員に調査票を配布する予定であったが、研修会欠席者が予想外に多く、欠席者には後日、郵送することとなった。 第二に、調査票の配布が遅れたことにより、質問紙調査票の回収が遅れたためである。郵送により配布した対象者には、回収期限を延長した。 第三に、上記の遅延に伴い、調査結果の整理・分析が遅れたためである。全部の調査票の回収期限を待ってから整理・分析を行ったため、予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度に行った質問紙調査の結果の分析を進めるとともに、分析結果を論文としてまとめ学会誌に投稿する。また、調査協力を頂いた調査対象者には、茨城県女性校長会・教頭会を通じて調査結果の報告書を配布する。さらに、女性教員を対象とした面接調査のための準備も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査票の回収が遅れ、それに伴い結果の整理・分析が遅れ、当初、平成27年度中に実施する予定であった、論文の作成と学会誌への投稿、結果報告書の作成と送付が平成28年度にずれこんだため。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査結果の整理のための人件費、論文作成のための消耗品費、英文校閲のための人件費、論文投稿料、結果報告書の作成費と郵送料等に使用する予定である。
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