研究課題/領域番号 |
15K00719
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 家計費 / 食料費 / 家計管理 / 変動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、家計管理の実態を調査し、今後の家計管理の課題・方法を検討することである。今年度は、家計消費支出の十大費目中最も大きな割合を占める食料費に焦点をあて、総務省統計局「家計調査」「全国消費実態調査」により価格変動の影響と所得階層による相違について分析を行った。等価支出金額を用いた中分類費目ごとの疑似ジニ係数の時系列比較では、野菜や魚介などの素材系の費目の疑似ジニ係数は2004年までは上昇傾向にあったが、その後減少に転じ、格差が縮小傾向にある一方、支出額が増加している外食の格差は拡大傾向が続いている。近年のエンゲル係数上昇の背景の1つに総合物価の上昇が食料物価の上昇を上回っていることがあるが、収入階級Ⅴ分位階級別で収入の低い第Ⅰ分位では、上回る前から反転が生じていた。食料費の中でも生鮮品は物価変動が大きい。中でも変動の大きい生鮮野菜について、収入階級Ⅴ分位階級別に平均価格の推移を追うと、1990年台には収入階級による平均価格の相違は比較的小さい。特に第1分位から第Ⅳ分位までの相違は小さい。生鮮肉、生鮮魚介ではこの時期にも収入階級による平均価格に開きが見られる点で様相が異なる。2000年頃から2010年にかけて、所得階級による開きが拡大している。この間の消費額の変化は比較的小さい。いずれの階級も購入数量が減少しているが、所得階級の低い層では減少率が小さく、価格を抑えつつ数量を確保している。第Ⅴ分位では2011年以降平均価格が上昇していたが、他の階級では2014年まで平均価格を大きく変化させていない。その後所得階級の低い層での平均価格の上昇により、階級間の価格差が縮小している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家計管理の調査内容を考慮するにあたり、家計費中ウェイトの大きい食料費について所得階層による相違、価格変動の影響について検討することにしたため、インターネット調査を次年度に持ち越すことになり、この点でやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
家計管理についてのインターネット調査を行う。調査対象者自身、あるいは対象者が属する世帯における家計管理の実態(紙媒体以外を含む家計簿記帳の有無、記帳の具体的内容、記帳以外の方法による家計管理の内容等を調査する。2人以上の世帯の場合には、担当者や現在の方法の決定過程など家計の組織化についても調査に含める予定である。家計管理の実態を明らかにするとともに、管理方法などに影響を与える要因を検討し、これまでの研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
家計管理の調査内容を考慮するにあたり、家計費中ウェイトの大きい食料費について所得階層による相違、価格変動の影響について検討することにしたため、家計管理について予定していたインターネット調査の実施が遅れ、その調査費用が持ち越しとなった。次年度に家計管理についてのインターネット調査を行う。
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