研究課題/領域番号 |
15K00720
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
冨田 久枝 千葉大学, 教育学部, 教授 (90352658)
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研究分担者 |
名須川 知子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 理事・副学長 (50144621)
片山 知子 和泉短期大学, 児童福祉学科, 准教授 (50588506)
吉川 はる奈 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70272739)
上垣内 伸子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (90185984)
西脇 二葉 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 助手 (30389803)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保育 / 子育て / ESD / 持続可能 / 環境 / 継承 / 創造 / 乳幼児期 |
研究実績の概要 |
(1) 平成29年度の研究実績の主な内容:研究3年目を迎え、研究分担者と協力して本の執筆に取り組んだ。執筆の主な目的は保育現場の実践者に「ESD」の具体的な取り組みを発信することである。本のタイトルは「持続可能な社会をつくる日本の保育 乳幼児期におけるESD」とした。本の概要はESDの基礎概念を示し、実際の保育内容に内包されるESDの存在、ESDからみた子どもの発達、「地域」における保育とESD、「自然」と保育のかかわりとESD、「文化」という視点からとらえた保育とESD、ESDの視点から見直す日本の保育史、保育におけるこれからのESD -継承していく「もの」と創造する「こと」‐について述べた。平成30年4月25日かもがわ出版から出版することとなった。 (2) 本研究の重要性と意義:本研究は、多くの学会の自主シンポジウムを催する中で議論を交わしながら研究を推進した。その結果とも言える新幼稚園教育要領の前文では、まさにESDの内容を指し示す内容が告示された。その内容を一部報告して意義としたい。「前略 2個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自立の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。5 伝統と文化を尊重し、中略、他の国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と示された部分である。 (3) 今後の展開の方向性:本来ならば終了年度であるが、本の完成に力を注いだために予定していた全国の日本の幼児教育施設におけるESDに関わる保育の実態調査(質問紙)が実施できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究開始から2年が経過して、まとめを行わなければならなかった。当初の計画では事例の収集等から本の執筆による啓発活動や、学会等の研究発表による研究に関わる討議からの研究の精緻化を努力してきた。しかし、思いのほか本の構成、執筆、最終的な校正に時間が掛かり、本の出版は4月に達成できた。しかし、研究として量的な検討(質問紙)による保育現場におけるESDの実態調査が手つかずであった。
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今後の研究の推進方策 |
1年延長申請を行ったので、先にも説明した研究としての精度を高めるために量的な検討も当初の研究計画にはあったため、30年度は残こした量的な検討に取り組むこととした。 具体的にはESDという言葉が少しずつ保育現場には浸透してきたが、新しい保育を行うことではなく、従来の保育のESD視点(持続可能を視座する)ことをどれくらい保育内容で重視しているか、実際に保育で取り組んでいる活動はどのようなものが有るか、その活動を取り入れている根拠は何かなど、質問紙を用いて検討しようと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は日本における乳幼児期の教育としてESD(持続可能な開発のための教育)のモデルを構築することを目途として研究を進めてきた。自分たちの仮説を検証するために、複数の学会でこの数年、自主シンポジウムを開催し、仮設の検証を行い、本報告書の著書として記載したが、研究のまとめの第一歩を踏み出すことはできた。しかし、最終的な検証に質問紙を全国レベルで実施し、その実証性を高めようと考えたが、質問紙の開発に時間が掛かり、未完成である。そこで、最終的な検証としての質問紙調査をを残っている使用額を活用して実施していこうと考えている。
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