研究課題/領域番号 |
15K00722
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
久保 桂子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80234475)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共働き夫婦 / タイム・バインド / ワーク・ライフ・バランス / 仕事から家庭への葛藤 |
研究実績の概要 |
共働き夫婦の夫の就業状況が妻の仕事と子育ての葛藤に及ぼす影響について、予備調査を行った、まず、妻のワーク・ライフ・バランス実現のための戦略について検討し、妻は、現在の戦略とともに、自身が目指すワーク・ライフ・バランスのレベルに到達できるよう、ライフコース上で長期的な戦略をとっていることが明らかになった。そして、仕事と家庭生活不調和を是正するための戦略として、仕事の要求と家庭の資源、家庭の要求と仕事の資源を一致させる戦略をとっている。しかし、自身のワーク・ライフ・バランスの期待のレベルと、実際の到達レベルとのギャップが葛藤となる。特に、仕事の要求に応える時間と家庭の要求に応える時間の間で時間的な板挟みになる「タイムバインド」状態にある場合に、葛藤が大きくなる。労働通勤時間の長さすなわち家庭生活時間の短さがコンフリクトに繋がっている。タイムバインドについては、資源を増やす、要求に応えない戦略を用いてタイムバインドを解消し、仕事と家庭の要求を一致させている。資源を増やす戦略として、夫の協力は大きな戦略である。たとえば、夫の保育所の送迎への参加が妻のタイムバインドの解消につながっており、夫婦の時間を組み合わせてタイムバインドの解消を検討する必要がある。夫も、子どもを持つことによって、タイムバインドが生じているはずであるが、実際には妻が解消させる戦略をとることにより、夫のタイムバインドは隠されている。この隠されたタイムバインドにも着目する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の本格調査に向けて、予備調査を行い、共働き夫婦の夫の就業状況が妻の仕事と子育ての葛藤に及ぼす影響について、タイム・バインドというキーワードを用いて検討を進めることが有効であることが明らかになった。さらに、妻の仕事から家庭生活への葛藤は、夫のタイム・バインドとも関係しており、夫の仕事の状況についても検討を深めることの重要性が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度に行った予備調査をもとに、質問内容を精選した調査票を作成し、面接調査とともに、メールでの聞き取り調査など、対象の範囲を広げて、調査の規模を大きくする。多くの事例から共働き夫婦の夫の就業状況が妻の仕事と子育ての葛藤に及ぼす影響について、意味ある因果関係を導き出すための分析を行う。
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