研究課題/領域番号 |
15K00734
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
関根 理恵 江戸川大学, 社会学部, 講師 (90709304)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 文化財 / 洗浄 / 保存修復 |
研究実績の概要 |
2015年度は、先行研究等の分析、資料および情報収集、実験計画、資料収集、試料作製、表面形状の観察、汚損物質の観察、伝統的洗浄、引きはがし等による除去、蒸気洗浄、予備実験を行なった。先行研究等の分析、資料および情報収集では、国内のみならず海外の先行研究に対して実施した。資料取集では、文化財の現状の観察とコンディションチェックを行い、汚損状況について研究した。実験に関しては、当初の研究計画に従い実験準備をおこなった。試料作製では、試料ごとに劣化および汚損の状況が異なるため、サンプルごとに表面形状の観察、汚損物質の観察など、物性の把握を丁寧におこなった。表面形状の観察では、光学顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、エネルギー分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)、三次元マイクロスコープによる観察を行った。同様に、汚損物質の観察を実施した。洗浄方法別の試験では、伝統的洗浄、引きはがし等による除去、蒸気洗浄を行った。洗浄手法による違いを把握のため、比較検討を行った。洗剤に関する研究では、酵素を用いた洗浄に関する研究、漂白剤を用いた洗浄に関する研究のための予備実験を行った。また、予備実験に基づき、実験条件設定や洗浄に用いる洗剤の見直しを行い、実験計画の再考および修正を行った。素材別による効果の検証では、繊維素材(絹、木綿、ウール、麻)の比較実験を計画し、それぞれの繊維素材に対し予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は、先行研究の分析、資料収集、実験計画、試料作製および実験をおこなった。また、文化財修復における洗浄に関する手法についての情報収集とその分析をおこなった。先行研究等関連分野の文献収集および分析においては、欧州(フランスおよびベルギー)における洗浄手法および専門機器に関する調査を実施する予定であったが、2015年11月(パリ)、2016年3月(ベルギー)に起こったテロの影響により、計画していた調査を次年度に延期した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、引き続き、文化財の汚損の状況、および汚損原因の把握、分類等を行うとともに、物性評価に関する実験を行い、文化財の洗浄方法および洗浄に効果的な洗剤、洗浄前および洗浄後のコンディション等について考察する。また、素材別の洗浄方法および効果的な洗剤についても研究していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、表面形状の観察、汚染物質の観察、および伝統的洗浄、引きはがし等による除去の実験を優先して行った。また、実験に際し予備実験を行い、当初予定していた高圧洗浄、蒸気洗浄等の実験を次年度に実施することとしたため、高圧洗浄、蒸気洗浄に必要な専門機器等の検討を行い、専門機器等の購入が次年度に繰り越されたため。また、テロの影響により、予定していた海外における洗浄方法の現況調査が延期となった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験計画にしたがって、実験に必要な資材の購入を適宜行い、実験を実施する。また、洗浄手法の研究のため、研究計画に従い、海外(欧州:フランスおよびベルギー)で実施されている文化財の洗浄について調査を実施する。
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