本研究では,実際に看取りのケアを経験した方を対象にしたため,本研究結果を発信することで,看取りのケア,死別といった経験者の生の声を広く社会に伝えることができる。それは,経験者だけでなく,未経験者にとっても,その内的世界を追体験でき,死別経験者の心理について理解が深まるという効果が期待できる。また,看取りから死別,そして現在の長期的な心理変容プロセスを示すことで,生涯発達が遂げられる可能性を示すことができたため,現在,介護をしている方や死別後の喪失感で苦しんでいる方にとって,そして社会全体にとって,ケアすること,大切な人を喪失することの意義を問い直せたのではないかと考える。
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