研究課題/領域番号 |
15K00744
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
川口 惠子 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10369861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活困難 / 生活支援 / 消費者行政 / ソーシャルワーク / 多職種 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、調査対象地の熊本県玉名市、長洲町、玉東町についての各自治体における生活支援状況を把握するため、相談窓口である消費者行政を中心に現地調査を継続実行した。実際の家計管理支援の場に同席して支援内容を観察すると共に、「玉名市生活安心ネットワーク委員会会議」(年間5回開催)にも参加して、行政、社協、学校、NPO等の多職種からの意見聴収を行った。また、企業関係者への調査も行った。継続的な現地調査で、生活の現場でどのような生活困難問題が発生しており、どのような支援内容が求められているかを把握することができた。 生活困難問題は、おもに金銭問題として表出するがその背景には衣食住、人間関係、家事をはじめ生活の全てにおける問題が存在しており、それらの一つ一つを丁寧に解きほぐして、支援内容を特定していくことが求められていた。しかもその支援内容は、単一的なものでなく常に複数的な対応によって、支援の効果がもたらされるものであった。現場での生活支援は、どこまでが生活経営学の範疇でどこから先が福祉領域などと理論的に割り切れるものでなく、またそのようなことは意味を持たないと痛感した。さらに、人権、ジェンダー、シティズンシップ、持続可能性などの視点も必要なため、生活困難状況にある支援にはソーシャルワークの手法も不可欠であることを見出した。生活困難者予備軍としての学生の消費者像にも注目し、学生支援における考察も行った。 調査では、いかにして行政を中心に支援を展開していくか、時間、労力等のコスト面から現場では限界があるとの疑問も上がっていることを把握した。2年目はこのような課題にも着目して研究を進めていく。 研究の結果については、国民生活研究(投稿中)及び日本消費者教育学会誌消費者教育(掲載決定)まとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活困難者支援の現地調査については、ほぼ当初の予定通り実施できた。研究結果は論文にまとめて発表した(1誌掲載決定、1誌投稿中)。生活困難者への具体的なノウハウのあり方を知るため、フランスの社会家政援助者の活動についてブザンゾン市における現地調査を予定していたが、治安の関係から今年度の調査は見送った。海外調査については引き続きフランスの調査を念頭に置いているが、諸事情から他の事例国も検討している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き各自治体での支援事例を継続観察するとともに、具体的な支援の方法と機能させる仕組みのノウハウを抽出する。そのほかの先進的事例地の現地調査も行い、事例を蓄積する。事例の整理・分析を行い、支援内容や支援者育成の在り方を検討する。その上で、プロジェクトマネジメントサイクルによる生活困難者支援プログラムを提示し、調査地で試行を試み、モデルン修正を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスブザンゾン市における現地調査を2016年2月に予定計画していたが、現地の治安状況から現地調査旅行を中止したため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際情勢を注視しつつ、フランス現地調査が可能か検討を行うとともに、他の事例調査地の検討を行い、先進的事例の蓄積を行う予定である。
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