研究課題/領域番号 |
15K00744
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
川口 惠子 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10369861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活困難(困窮) / 生活支援 / 消費者行政 / ソーシャルワーク / 多職種 / 地方自治体 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績は以下のとおりである。1.事例調査;熊本県玉名市の「玉名市生活安心ネットワーク委員会(年5回)」、「生活困窮者自立支援調整会議(月1回)」について前年に引き続き継続調査を実施した。会議に定期的に参加するとともに、実際のケース会議にも参加して事例調査を行った。玉名市で県内行政としては初めての試みであるフードバンクについて設立経緯と実施状況を調査した。今年度研究では、玉名郡南関町「消費者行政ネットワーク会議(月1回)」についても参加し事例調査を実施した。 2.比較先進地現地調査;比較調査として沖縄諸島特有の自助組織「共同売店」の調査を行った。さらに、新潟市、米沢市における現地調査を行い、行政、社協、学校、NPO等の多職種からの意見聴収を行い実施内容を把握した。とくに新潟市のフードバンク実施状況からは新たな示唆を得ることができた。海外の事例としては、韓国における生活支援の実践を「健康家庭支援センター」の事例を中心として文献調査を行った。 3.成果発表(学会発表・論文投稿、シンポジウムの開催);平成28年10月2日、日本消費者教育学会第36回大会で「地方消費者行政における協働的な生活困難者支援のプログラム開発の研究(第1報 高知・大阪調査)」のポスター発表を行った。論文は、「生活困窮者における家計管理支援方法の検討ーソーシャルワークの視点を活用したチームアプローチの事例よりー」が尚絅大学紀要に掲載された。シンポジウムは、29年度に実施予定であったが、モデル修正のための示唆を得るために前倒しして平成29年2月16日に実施した。「地方自治体における協働的な生活困窮者支援を探る」のテーマで、自治体連携推進会議と共催で本学九品寺キャンパスで開催した。主に九州各県の自治体や社協の職員、NPO等市民団体から約80名の参加があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間を通して、熊本県の自治体の事例を実際に参加する形で継続調査することで、具体的な支援方法の内容をほぼ把握することができた。生活困難者の支援を行っている地方自治体の先進的と思われる事例については、四国、関西、北陸、上信越地域を概ね現地調査によって予定通り収集し、地域の特色を生かした支援方法の有効性について検討のための資料を収集できた。同様に、比較調査として沖縄諸島の自助組織としての共同売店調査を行い、異なる視点からの考察への示唆を得ることができた。これらの結果については、学科発表(発表1、ポスター1)や論文投稿(2報掲載)で発表した。 また、シンポジウムを開催し、九州各県の行政担当者や社協職員、NPO団体等の関係者と生活困難(困窮)者支援の現状と課題について意見交換を行うことができ、支援プログラム構築への示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
支援プログラムの試行を熊本県玉名市と玉名郡南関町の2自治体で実施し、プロジェクトマネジメントサイクルの観点から、関係者との検討を行い結果をフィードバックさせてモデルの修正を行う。完成した支援プログラムは、地方自治体、NPO団体等に提示し、ホームページ等を通して公表する。
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