最終年度は、家計管理支援を中心とした支援プログラムの試行を熊本県玉名市と玉名郡玉東町の2つの自治体で実施した結果を、フィードバックして支援プログラムのモデル修正を行った。主な修正は、以下の2点の内容について行った。 1点目は、支援プログラムの実施にチームを組んでソーシャルワークの手法を取り入れた点である。生活困難者は、複合的な生活問題を抱えており、生活全体を幅広い視点から捉えた包括的支援を必要としている。複雑な個別事例に対応するためには、ソーシャルワークの視点を活用し行政の関係各課はもちろん、関係機関とチームを組んで支援することが効果的である。 2点目は、支援プログラムに生活困難者の状況把握のためのアセスメントシートを位置づけたことである。的確な支援を展開するためには、支援対象者の問題状況をできるだけ正確に把握し、支援内容を決定することが必要であるが、現場では行政職員や消費生活相談員の経験の違い等から把握の仕方にばらつきがみられる。いつ、どこで、誰がしても一定の成果が得られるアセスメントシートがあれば、無駄な試行錯誤をしないで的確な支援を速やかに実施することが可能になる。 プログラム開発と並行して引き続き、先進地事例について現地調査を行い、結果をプログラム内容に反映した。秋田県藤里町は、「生活困難者の力を地域づくりに活かすシステムづくり」という効果的な手法を開発して効果を挙げている。地元の良さを生かすことと、仕事(経済活動)に直結する多様な支援策の実施が生活困難者にとって有効な支援策であるという支援プログラム作成への有用な示唆を得た。また、ライフプランを立てるのは容易だが、実行に結びつけるには、記帳、管理能力等の生活基礎力が不可欠になるため、きめ細やかな家計管理相談支援を実施しており、支援プログラムの柱に家計管理が不可欠であることをここでも確認した。
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