本研究は、申請者が実際に運営する地域と大学の協働活動「新潟大学ダブルホーム」を持続的な住環境形成に資する活動へ発展させていくプロセスの中から有効な活動プログラムや支援手法を構築することを目指した。活動地域の実態や活動に対する参加者の意識を分析し、ダブルホームが地域コミュニティの維持にどのような影響を及ぼすかを考察した。地域住民の地域愛着、学生への期待、活動に対する意識は概ね高く、学生が地域で活動することは、地域住民に「交流や学生の成長を感じる楽しみ」をもたらしていた。先行研究で報告されている効果「地域内のつながり形成」や「新たな地域資源の見直し」は、積極的な対話や地域への貢献意識が高いホームで認められた。また、地域との信頼関係づくりや目的を持ったプロジェクト遂行の重要性も見出した。 平成29年度は、先行事例調査や活動参加者のニーズ調査に基づき地域貢献を目指すためのプログラム改善を実施した。具体的には授業との往還やピアサポート体制を活用し、地域との対話機会の創出、学生の地域理解とチームワークの促進、目標の設定・共有や省察の強化等である。これらの取り組みも含め、活動地域住民、参加学生および教職員による本プログラムの評価調査を実施した。この結果、継続して活動できる支援環境形成、参加者の負担感を減らしながら信頼関係を構築できる学びのコミュニティ形成、地域住民との対話を重視した地域の思いに寄り添う活動展開の3点が重要であることを見出した。 以上を踏まえ平成30年度から、より地域に資する学生たちの主体的取り組みを促進するプログラムを開始した。地域との対話を重視した年間5回のベース活動とクラウドファンディングや自治体補助金などの外部資金を自分たちで獲得して地域貢献を目指すチャレンジ活動である。今後は、この新プログラムを検証しながら、さらなるプログラム改善に取り組んでいく。
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