研究課題/領域番号 |
15K00753
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村上 かおり 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80229955)
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研究分担者 |
増田 智恵 三重大学, 教育学部, 教授 (60132437)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 着心地 / 筋電図 / スカート / 脳波 |
研究実績の概要 |
心身ともに着心地の良い衣服について検討を行うため,既製服と個人の体形に応じたオーダーメイド仕様の注文服を着用した場合の着心地がどのように違うのについて実験を用いて検証した。日常生活においてMサイズの衣服を着用している被験者のタイトスカートを,同素材,同デザインで業者により縫製した。縫製された注文服の製作では被験者に適応するよう,適宜補正を行い縫製するよう依頼した。このように縫製した注文服を用いて,日常生活動作をおこなったときの筋電図を計測し,既製服着衣時との筋負担の相違点を明らかにした。また着用時の身体への負担として,リラックス感を把握するため,脳波計を用いて脳波を測定した。また着用時の審美性が着用感に対する影響をとらえるため,既製服着装時と注文服着装時の立位ならびに座位の正面,側面,背面の写真を用いて印象評価を行った。印象評価は自己評価だけでなく,被験者以外の評価者を設定してフィット性,審美性についての項目を5段階評価してもらう方法で評価した。 実験の結果,筋電図において,動作や既製服と注文服の違いによらず,被験者によって筋活動が大きくなる筋肉の部位には特徴があることが明らかになった。また歩行するときと自転車を運転するとき以外の日常生活動作時において既製服よりも注文服着装時の方が筋活動が大きくなることも明らかになった。しかし官能評価において,椅子への着席と起立,歩行,階段昇降,しゃがむ,自転車を運転する動作時では注文服着装時の方が既製服着装時よりも動きやすかったと回答した。 印象評価において,注文服の方が既製服よりも支持された項目が多く,タイトスカート着装時の見た目の印象については,被験者本人と他者評価者ともに注文服の方が既製服よりも評価が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着心地に関する実験については,脳波測定による環境が整ったため,筋電図による筋負担測定に加えて日常生活動作時における脳波の測定を行った。これによって主観評価による着心地だけでなく,客観的な評価も行うことができるようになったことから,おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにおこなった調査と筋電図,脳波実験のデータを整理し,既製服と個人の体形に適合した衣服(注文服)の着衣時の身体負担および審美性における官能評価の結果から,着衣疲労を軽減し,着用感の良さを高めるために必要な要因を整理する。また筋負担計測値と複合的に,着用感を評価できる生体信号について検討を行い,それら の関係性についても知見を得られるようにする最終年度となるため,これまでの調査,実験の分析を行い,家庭科の被服領域学習に活用できる教材にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した脳波計の金額が想定よりも安かったため,次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
生体信号収録装置に対応したOSのパソコン1台に不具合が生じたため購入する計画である。
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