研究実績の概要 |
フノリは紅藻類フノリ科の海藻で、新潟県魚沼地方では麻織物の糊料として用いられてきたが、麺に添加すると独特のコシの強さと歯ざわりの良さを与える。米粉麺の加工において、米粉100%の麺は加工しにくいという欠点があるが、つなぎにフノリを用いることで製麺性および物性の改善が期待できる。また、米粉のアミロース含量の相違が製麺性に影響することも考えられる。そこで、本年度は、粉末フノリをつなぎとした米粉麺の加工において、フノリの添加量と米粉のアミロース含量が米粉麺の物性に及ぼす影響について検討した。 粉末フノリ(九州産)、新潟県産コシヒカリCKタイプ(新潟製粉(株)、中アミロース米)および新潟県産越のかおり(妙高製粉(株)にて製粉、高アミロース米)の米粉を用い、米粉に粉末フノリを1~4%添加し、沸騰水を加え、めんうちきさくら((株)アベ技研)にて製麺した。生麺およびゆで麺の物性および色調(L*, a*, b*値)を測定するとともに、官能評価を行った。 高アミロース性の越のかおり米粉を使用した方がコシヒカリ米粉に比べてベタつき感がなく、麺離れが良く、製麺に適していた。フノリの添加量が多くなるほど、生麺の破断歪は低くなり、色調はフノリそのものの色が影響し、赤みの強い麺となった。ゆで麺においては、コシヒカリ米粉麺では破断点がみられず、越のかおり米粉麺ではフノリの添加量が多くなるほど、破断歪と破断応力が低下する傾向がみられた。官能評価では、越のかおり米粉麺へのフノリ2%添加において、香り、弾力性の良い麺となり、好まれることが分かった。この越のかおり米粉麺(フノリ2%添加)の食物繊維量は1.8g/100gであり、フノリの添加で0.5g/100gが増加していたことから、食物繊維の摂取増も見込まれた。
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