大腸菌O157による食品の二次汚染を防止するため、調理器具素材に付着した本菌の生存能と殺菌剤耐性を明らかにした。調理器具素材に付着した生細胞数は、水道水に漬け置く状態ではほとんど低下しないこと、また、自然乾燥させた場合は1時間で約千分の一に低下することが判明した。また本菌は、調理器具素材に付着した直後から、次亜塩素酸ナトリウムに対して高い耐性を示し、付着直後から高濃度の洗剤、殺菌剤を使用する必要があると考えられた。培養温度では、温度の低下に伴って付着細胞数が低下する傾向が見られた。また、食品成分が調理器具に付着した場合、特に多糖類が本菌の付着とバイオフィルムの形成を促進することも判明した。
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