研究課題/領域番号 |
15K00786
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
宮村 充彦 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (70464378)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 嚥下 / 経皮吸収 |
研究実績の概要 |
本年度は、ショウガ配合経皮吸収型製剤の作製及び製剤試験を実施した。ショウガ配合経皮吸収型製剤の作製として、まずショウガ粉末を水蒸気蒸留し、ショウガオイルの作製を検討したが、ショウガオイルの収率が上がらず、ショウガオイルの作製を断念し、ショウガ粉末を使用し、ショウガ配合軟膏を作製することとした。ショウガ配合軟膏は油脂に親和性の高い白色ワセリンや水に親和性の高いマクロゴール軟膏を使用し作製した。製剤試験として展延性についてスプレッドメーターを用いて基剤およびショウガ配合軟膏を測定した。その結果、基剤に油脂に親和性の高い白色ワセリンを使用した場合、水に親和性の高い軟膏を使用した場合に比べ、延びがよいことが明らかとなった。粘度については、軟膏で差は認められなかった。 次にフランツ型拡散セルを用い、ショウガの機能性成分の一つである6-ジンゲロールを指標とした10%ショウガ配合ワセリン軟膏及びマクロゴール軟膏の皮膚透過試験を実施した。その結果、10%ショウガ配合ワセリン軟膏では皮膚透過試験の結果、10%ショウガ配合白色ワセリン軟膏は6-ジンゲロールの累積透過量が経時的に増加し、皮膚透過速度は0.081μg/mL・hrであった。一方、10%ショウガ配合マクロゴール軟膏は、24時間後においても6-ジンゲロールの透過が確認できなかった。また、皮膚透過試験実施時に使用した皮膚を用い、6-ジンゲロールの皮膚内残存量をHPLCを用いて測定した結果、10%ショウガ配合白色ワセリン軟膏では6-ジンゲロールが確認できたものの、10%ショウガ配合マクロゴール軟膏では確認できなかった。 以上の結果より、ショウガを利用した軟膏を作製する場合、油脂に親和性の高い基剤が適していることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ショウガ配合軟膏については計画通りに進展している。 ショウガオイル精製する予定であったが、収率が低かったため断念した。 10%ショウガ抽出軟膏については、ワセリンを用いたショウガの機能性成分の抽出後のフィルターを用いた不溶物質の除去の検討に時間要したため、今後、製剤試験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
10%ショウガ配合ワセリン軟膏を用い、成人健常ボランティアを対象とした臨床試験を実施する予定である(高知大学医学部倫理委員会の承認済)。 10%ショウガ抽出軟膏については、軟膏作成後に製剤試験を行った後に臨床試験を実施する予定である。 また、ショウガの嚥下機能改善作用のメカニズムについて、実験動物を用い、舌の唾液腺細胞のTRPV1受容体やサブスタンスP等の発現について免疫染色により確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ショウガオイル配合軟膏の作製を断念したため、それに伴う製剤試験を実施していないたため また、ショウガ抽出軟膏の作製に時間を要し、製剤試験が途中であるため
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次年度使用額の使用計画 |
ショウガオイル配合軟膏の作製は断念したため、次年度に今回使用した以外の基剤を用いたショウガ配合軟膏の製剤試験に用いる。 また、現在行っているショウガ抽出軟膏の製剤試験に用いる。
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