研究課題
炎症誘導性脂質メディエーターのプロスタグランジン(PG)E2合成系を標的とした食品機能性の探索において、自然薯抽出物に、病態時の過剰なPGE2産生に寄与するシクロオキシゲナーゼ(COX)-2とミクロソームPGE合成酵素(mPGES)-1の発現を抑制することを明らかにした。本研究では、その有効成分の同定を試みたところ、候補成分の一つとして植物ステロールのジオスゲニンにその効果を見出した。COX-2とmPGES-1を高発現する非小細胞肺癌A549細胞へ、グルココルチコイド受容体拮抗薬RU486とジオスゲニンを用いた実験から、ジオスゲニンがグルココルチコイド受容体を介してCOX-2とmPGES-1の発現を抑制し、NF-kappa Bの細胞質移行を伴う抗炎症・抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。さらに、慢性炎症性疾患モデルマウスを用いて、両酵素の発現抑制と病態予防効果の知見を得た。次に、このような高機能性を有する自然薯を高齢者食に応用するために、均一な低温乾燥粉末を作製し、ペースト状にしたもののテクスチャー解析ならびにレオロジー解析によって、とろみ剤としての適合性を解析した。その結果、誤嚥しにくい食品モデルとされるヨーグルトあるいは、既製のとろみ剤と同様の適合性を示した。さらに、塩濃度やpHの違いによる物性変化についても解析した。これらの結果より、自然薯粉末ペーストは、慢性炎症予防効果を付加した新規とろみ剤としての可能性が示された。さらに、自然薯粉末を用いたレシピを開発し、ゲル化効果、加熱による膨張性やテクスチャー変化を利用した汁物やお汁粉、団子、小籠包、アイスクリームなどに応用し、新しいテクスチャーを有する嚥下に適した調理科学的応用を検討した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件)
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