研究課題/領域番号 |
15K00793
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
柴本 勇 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (30458418)
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研究分担者 |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404119)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 摂食嚥下 / 舌骨上筋群 / 表面筋電図 / ディープラーニング |
研究実績の概要 |
本研究では、以下の3つのことを研究課題として取り組んでいる。検討Ⅰ:固形物摂食時の舌骨上筋群表面筋電位パタン分析、検討Ⅱ:舌口蓋接触点及び舌口蓋接触圧変化時の舌骨上筋群表面筋電位パタン分析、検討Ⅲ:舌口蓋接触点と舌口蓋接触圧を舌骨上筋群パタンから推定することである。 検討Ⅰでは、①異なる物性を摂食した時、②1口量の違い、③異なる粘度の変化、④意識嚥下時の筋電位パタンは全て異なったとの結果を得た。検討Ⅱでは、舌口蓋接触点及び舌口蓋接触圧が異なると、舌骨上筋群の筋電位パタンも異なることを捉えた。これまでの結果より、異なる条件での摂食や異なる舌運動を表面筋電位パタンから可視化することが可能であることは理解できた。これらの結果は、平成27年~29年の関連学会で公表した。 次なる検討は、舌運動範囲や舌運動強度を舌骨上筋群の表面筋電位パタンで捉え可視化することであった。これを成功するためには、舌運動を変化させたときの舌骨上筋群表面筋電位パタンの特徴を抽出することが重要であった。また同時に、舌口蓋接触点や舌口蓋接触圧の変化と舌骨上筋群筋電位を時間同期させてデータ収集し、ニューラルネットワークを含めた人工知能を用いることでその特徴を可視化することが必要と考えた。舌運動によって生起される接触センサ及び圧センサで取得するデータと筋電位データを同期することを平成29年度に検討をした。データ同期用の環境を整えることに時間を要したが、可能となった。平成30年度は、同期データを分析し、舌口蓋接触点及び舌口蓋接触圧が舌骨上筋群筋電位パタンから推定可能となることを目標に計測を重ね解析を進めていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
それぞれの計測は順調にできたが、多チャンネル表面筋電図・舌口蓋接触点・舌口蓋接触圧の時間同期プログラムの開発に時間を要した。計画では平成28年度末までに開発して、平成29年度初頭から同期計測を予定していたが、開発に平成29年度1年間を要した。ただし、開発は平成29年度に完了した。平成30年度は計測が開始できる見込みである。計画から1年間遅れているが、今年度では研修計画を達成できる見込みである。このような理由から、「やや遅れている」という状況である。
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今後の研究の推進方策 |
検討Ⅰの検討課題である①異なる物性を摂食した時、②1口量の違い、③異なる粘度の変化、④意識嚥下時のそれぞれの舌骨上筋群筋電位パタンはデータの収集ができ解析まで終了した。検討Ⅱの検討課題である舌口蓋接触点及び舌口蓋接触圧の変化による舌骨上筋群の筋電位パタン様相の変化を捉えることもできた。舌口蓋接触点及び舌口蓋接触圧と舌骨上筋群のデータを同一時間軸上で同期させるプログラムも設計できた。今後は、それぞれを同一時間軸上で同期させる環境を構築し、舌口蓋接触部位・舌口蓋接触圧・舌骨上筋群筋電位計測を同時に行い深層学習を用いて機械学習させる。更には、舌骨上筋群筋電位パタンから舌口蓋接触部位と圧の推定を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、平成28年度末までに舌接触点計測、舌接触圧計測、舌骨上筋群筋電位計測を時間同期するプログラムを開発し、平成29年度にはプログラムを構築した上で計測する予定であった。しかし、時間同期プログラム開発に時間を要し平成29年末までかかった。そのため、計測等を1年遅くする研究計画に修正した。同時に、本来平成29年度に使用する経費を平成30年に移動した。これが平成30年度に使用額が生じた理由である。なお、平成29年度に使用した研究費は、平成28年度までに得た結果の公表を目的とした学会参加旅費及び計測プログラム構築の打ち合わせ旅費である。平成30年度には、本来平成29年度に行う計画にしていた、①時間同期プログラムの構築と計測、②計測で得られたデータ解析、③国際学会での成果報告での使用を計画している。
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