研究実績の概要 |
初年度として、まず食材16種(ローズマリー、けしのみ、アキグミ、タラゴン、セロリシード、山椒、コーングリッツ、マスタードシード、カフェライムリーフ、サボりー、マジョラム、ききょう、ほじそ、おかひじき、ししどうがらし、ディルウィード)について、無処理及び加熱処理(フライパン上中火で5分加熱)物の抽出エキス(50%メタノール抽出エキス及びジクロロメタン:メタノール(1:1)エキス)を調整し、それらをDAD HPLCシステムで分析・比較した。その結果、ローズマリーで5種の新たな成分、けしのみで1種類の新たな成分が生成していることを見出した。 次にこれら新規成分について大量調製、単離精製、構造解析を実施し、それぞれの化学構造を明らかにすることができた。ローズマリーから得られた新たな成分はいずれもcarnosol, carnosic acid(ローズマリーに含有される天然成分)の類縁化合物であり、そのうちの2化合物は新規化合物、残りの3化合物は天然の他の植物から報告されているもののローズマリーには含有されていないものであった(おそらくすべてcarnosol, carnosic acidから生成したもの)。またけしのみから得られた新たな成分はtrans, trans-2,4-decadienalと同定した(linoleic acidを加熱処理すると生成することが報告されている。けしのみはlinoleic acidをもつ油脂を多く含む)。 現在は得られた新たな成分にについて、生理活性を検討中である。これまでにローズマリーから得られた新たな成分に優れた抗酸化活性があること、またローズマリーの新たな成分のいくつか、trans, trans-2,4-decadienalに穏やかなPPARγアゴニスト活性があることを見出している。
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