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2016 年度 実施状況報告書

調理プロセスで発生する加熱生成成分の機能性、安全性に関する基礎的知見の確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K00798
研究機関日本女子大学

研究代表者

新藤 一敏  日本女子大学, 家政学部, 教授 (80350180)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードPPARγアゴニスト / 3T3-L1細胞分化誘導 / タマゴタケ
研究実績の概要

本年度は主として、ローズマリー加熱処理によって生ずる新たな5種類の生理活性成分(compound B, C, E, F, G、いずれもカルノシックアシッド類似構造でcompound E, Gは新規化合物)について、それらのPPARγagonist活性を詳細に検討した。より具体的には、receptor binding assayで上記5化合物のうち、compound B, Gにのみ明確なbinding及びagonist活性が認められたため、その活性がマウス脂肪細胞への分化能を有する3T3-L1でも、脂肪細胞分化促進作用として認められるかを検討中である。理研セルバンクより購入した直後の3T3-L1細胞には、insulinやdexamethazoneによる分化誘導がうまく働かなかったため、細胞の維持方法、継代方法に種々の工夫をこらし、ようやくrosiglitazoneというposotive control化合物での分化誘導活性が観察できるまでになった。またこのように改善された3T3-L1細胞で5種類の生理活性成分の分化誘導能を予備的に検討した結果、やはりcompound B, Gのみに分化誘導活性が認められることが判明し、これらの化合物が加熱食品にのみ含有される、大変興味深い化合物であることが明らかとなった。
また、新たな加熱食材として、珍しいきのこ類を中心に新たに15の食品を選択し、加熱及び非加熱時の抽出物を調製してDAD PLC比較を実施済みである。このうち、加熱タマゴタケ50%メタノール抽出エキスにのみ観察される新たな成分について、現在、溶媒での抽出条件、シリカゲルTLC,ODS TLCでの挙動、ゲルろ過での挙動などを確認しつつ単離精製を実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ローズマリー加熱処理により生ずる新たな生理活性成分については、単離精製・構造解析完了し、詳細な生理活性検討を展開中である。さらにこれらの中に優れたPPARγagonist活性を新たに見出しており、本活性を詳細に検討することにより、新たな血糖値降下活性を有する食品成分を近々に報告できる見通しである。
また新たな加熱食材の処理もおおむね順調に進んでおり、新たにタマゴタケという珍しい食品からあらたな成分を単離しつつある。

今後の研究の推進方策

ローズマリー加熱処理によって生ずる新たな5種類の生理活性成分(compound B, C, E, F, G)については、3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化誘導活性までの生理活性評価で、各化合物のPPARγagonistとしてのポテンシャル評価を完了としたい。さらに、これらのうち、おそらく最も有望と考えれらっれるcompound E, Gについては、ローズマリー加熱により大量調製を実施し、マウス糖尿病モデルへの経口投与で、有意な血糖値降下活性が出るかまで評価し、機能性食品成分としての可能性を深く検討したのち、学術論文として報告していきたい。
ローズマリー以外の食品についても、残り期間を通じてコンスタントに加熱・非加熱での成分変化をDAD HPLCで比較検討していき、食品の種類による傾向等が存在するかについて、ある程度の報告ができるようにまとめていく予定である。また本年度、新たな成分の候補としてタマゴタケ由来化合物が見出されてきたので、これの単離精製・構造解析・生理活性検討を進展させていく予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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