研究課題/領域番号 |
15K00801
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
明神 千穂 近畿大学, 農学部, 講師 (90529752)
|
研究分担者 |
川西 正子 近畿大学, 農学部, 准教授 (20221038)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 災害食 / 保温調理 / ポリ袋調理(パッククッキング) / 省エネルギー / アスコルビン酸 / 抗酸化性 / 野菜 / コメ |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き、文献や行政の報告書に加え被災地の災害支援に赴いた行政の管理栄養士より聞き取り調査を行った。また野菜(コマツナ)のゆで調理、ポリ袋を用いた連続加熱調理(パッククッキング)、ポリ袋を用い保温材(毛布、鍋帽子、発泡スチロール)で保温した保温調理(保温パッククッキング)等各種調理法による野菜(キャベツ・ダイコン)の抗酸化能(DPPHラジカル捕捉活性能、ORAC法によるペルオキシラジカル捕捉活性能)、アスコルビン酸、総ポリフェノール量の分析を行った。おいしさについては官能評価を行った。米においては、実験条件の確立を行うとともに、ゆで調理、パッククッキング、保温パッククッキング法による物性およびおいしさの評価を行った。野菜の抗酸化能においては、パッククッキングおよび保温パッククッキングともゆで調理と比較して有意に抗酸化能が保持されていた。さらにおいしさにおいても高い評価が得られた。また、保温パッククッキングは連続加熱(パッククッキング)と比較しても、抗酸化能、おいしさにおいては有意な差はみられなかったが、消費エネルギー量においては保温パッククッキングが有意に低く、さらに調理時間が長くなるほど高い効果がみられた。野菜やコメを用いた保温パッククッキングの手法の有用性が明らかとなった。今後は根菜類の分析を行い基礎データの蓄積を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、課題の抽出においては、前年度に引き続き、文献や行政の報告書および被災地の災害支援に赴いた行政の管理栄養士より聞き取り調査を行った。訪問調査に関しては訪問先との時間的な都合をつけることが難しく、断念した。ポリ袋を用いた保温調理(保温パッククッキング)における、野菜(コマツナ)の抗酸化性、おいしさを前年度に確立した手法を用いて行った。米においては、実験条件の確立を行うとともに、連続加熱、パッククッキング、保温パッククッキング(毛布、鍋帽子、発泡スチロール)など各調理法による、物性およびおいしさの評価を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き被災地における災害食に関する調査を継続するとともに、ジャガイモ、ダイコンおよびニンジンを用いて、各調理法による物性およびおいしさの評価を行う。さらに保温パッククッキング法を用いたレシピの開発を行う。 次年度は最終年度にあたるため、結果をまとめて論文を作成するとともに国内外の学会にて発表する予定である。さらに研究成果をもとにリーフレットを作成し、HPにて公開するとともに、栄養士、調理師を対象に講習会を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
被災地への訪問調査を文献および行政の栄養士に対するインタビューに変更したこと、および国際会議での発表を国内発表に変更したことから、旅費の支出が抑えられたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、引き続き分析を行うことから、分析機器および消耗品、食材の購入に使用する。また、国内での学会発表参加旅費および製作予定のリーフレットおよびHPのデザイン、印刷等や講習会を行うための消耗品、材料費に使用する。さらにデータの解析およびリーフレット作成のための人件費として使用予定である。
|