これまでにキントキマメ、ナタマメ、サトイモを試料として、生及び加熱した試料から精製したレクチンに焦点をあてて、生物学的性質とともに、ガン細胞に対する特異性を検討している。 特定のガン細胞に対する特異性をこれらのレクチンは持っていたが、それは、これらのレクチンの持つ糖の特異性によると考えられた。そこで得られた糖への特異性の結果を参考にして、細胞増殖抑制を起こす可能性のあるガン細胞を選択して、その増殖抑制の実験を実施した。 本年度は精製したレクチンを使用し、ガン細胞に対する特異性にさらに詳細に焦点をあてるために、B16メラノーマ細胞以外の細胞に着目して増殖抑制作用を検討した。 生のキントキマメから精製されたレクチンは、B16メラノーマ細胞のみならず、Hela細胞、LB8細胞に対する特異性を有していた。対して加熱したキントキマメから精製されたレクチンは、精製されたクロマトグラフィーからの溶出画分により特にB16メラノーマ細胞に対する特異性が変化した。他のHela細胞とLB8細胞に対する特異性は、加熱した試料からのレクチンには認められなかった。 生のサトイモから精製されたレクチンに関しては、特にLB8細胞に対する特異性を示し、加熱したレクチンでも、クロマトグラフィーからの溶出画分により差は認められるものの、この増殖抑制作用を有したままであった。サトイモからのレクチンとキントキマメから精製したレクチンは、ガン細胞に対する特異性を異にしていた結果は、各々のレクチンの持つ糖特異性によると推定された。
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