食べ物の「粘り」は日本人の食に重要な特性の一つである。しかし、複合的で複雑であるため、食品の研究や分析の現場でも、定義がないまま曖昧に扱われることも多い。本研究では、「粘り」を客観的に理解するための用語整理を行った。 アンケートによって「粘り」を表現する用語として105語を収集した。これらを多次元尺度法およびクラスター分析によって大分類2、小分類7に分類し、対象食物名の情報も加えて「粘り」の用語体系を作成した。 さらに、各用語について消費者の認知状況を調査したところ、若年層は「粘り」表現の語彙が少ない傾向がみられた。背景には、食生活の変化や流行、言葉に対する感性の違いなどが考えられた。
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