平成27年度は花椒、桂皮、八角の3種の香辛料抽出液に含まれるIL―1β分泌抑制抑制分子を絞り込んで行く作業を行った。分画実験の結果、当該因子が高い水溶性をもつことを確認でき、水溶性のポリフェノール類であることが示唆された。そこで、市販のポリフェノール類を購入してIL―1βの細胞外輸送への影響を検討したところ、香辛料抽出物と同様の機序でIL―1βの分泌を抑制する標品を見いだすことができた。現在、その標品の特性を確認し、香辛料抽出物からではなく、市販のポリフェノール標品から責任分子を抽出しようと計画している。 一方、香辛料抽出液が作用する細胞側の標的分子の解析も進めた。平成27年8月に米国と中国の研究者が、GSDMDと呼ばれるタンパク質にIL―1β分泌を制御する機能があると報告したので、香辛料抽出液およびポリフェノール標品のGSDMDへの影響を検討した。その結果、香辛料抽出液およびポリフェノール標品はGSDMDの働きには影響しないことが判明した。この結果は、香辛料抽出液およびポリフェノール標品中の標的分子がGSDMDよりも下流の因子に作用することを示唆している。
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