研究課題/領域番号 |
15K00815
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
小倉 裕範 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60304557)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 炎症性サイトカイン / 香辛料成分 / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
平成27年度の解析で花椒、桂皮、八角の3種の香辛料抽出液に含まれるIL―1β分泌抑制抑制分子が水溶性のポリフェノール類であることが示唆され、さらに市販のポリフェノール類もまた香辛料抽出物と同様のパターンでIL―1βの分泌を抑制することを見いだしたので、平成28年度は市販のポリフェノール標品からの責任分子の抽出を試みた。しかし分画の中には、IL―1β分泌の抑制物質に加えて、IL―1βの活性化因子であるカスパーゼ1を阻害する活性も含まれることがわかり、抽出手順の決定作業にかなり手間取った。現在も引き続きポリフェノール標品の分画条件の検討を継続しており、平成29年度も責任分子の単離を目指して、ポリフェノール標品の分画を進めたい。 加えて、平成27年度の予備実験では、香辛料抽出液およびポリフェノール標品が、新規のIL―1βの分泌調節因子GSDMDタンパク質には影響しないとの予備実験の結果を得ていたので、平成28年度はまずこの結果の再現性を検討し、確かな再現性を確認した。香辛料抽出液およびポリフェノール標品は、GSDMDよりも下流の因子に作用すると結論した。 GSDMDタンパク質には細胞膜を穿孔する作用があるとの報告があるので、香辛料抽出液およびポリフェノール標品が、GSDMDタンパク質の膜穿孔作用を阻害するかどうかを検証することにした。現在、実験の準備を継続中であり、平成29年度中に結論を得ることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に見いだしたことを確認する作業が多かったが、確かに再現性を確認でき、研究の方向性を見定めることができているので、順調に進展していると判断する。条件の検討や準備がやや遅れがちであるので当初の予定以上とは言えないが、研究は確かに進んでおり、次年度の研究の下地を作っているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。ポリフェノール標品中のIL―1β分泌抑制物質の単離を目指す一方、当該抑制物質の細胞への作用の解明、あるいは標的分子の同定を目指したい。
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