研究課題/領域番号 |
15K00819
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
下畑 隆明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (90609687)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カンピロバクター / アミノ酸 / オートファジー |
研究実績の概要 |
平成27年の検討では主に、(1)カンピロバクター感染における、オートファジー誘発意義について、(2)カンピロバクター感染によるエネルギー供給変化について実験を行った。 (1) カンピロバクター感染における、オートファジー誘発意義についての検討では、多くの細菌感染で宿主細胞侵入菌の除菌機構として働くオートファジーが、宿主細胞内に侵入したカンピロバクターへ与える影響について評価をした。本研究ではカンピロバクター感染においても宿主細胞内でオートファジーが誘導されること、また阻害剤を用いた検討からオートファジーが侵入後のカンピロバクター生存に寄与していることが明らかとなった。 (2) カンピロバクター感染によるエネルギー供給変化については、CE/MS解析によるメタボローム解析を行い代謝産物の変動結果をもとに、アミノ酸をターゲットに決定した。カンピロバクターは他の腸管病原性細菌に比べ糖代謝能が著しく低く、アミノ酸を糖源としてエネルギー代謝を行っていることが知られている。感染宿主細胞内では興味深いことに細胞内で多くのアミノ酸含有量が増加していたため、細胞内アミノ酸上昇機構に対するオートファジーの関与と。細胞内アミノ酸上昇がもたらす宿主細胞内侵入菌の生存変化ついて解析した。アミノ酸の供給を介し、カンピロバクターの細胞内生存に寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究では、(1)カンピロバクター感染における、オートファジー誘発意義について、(2)カンピロバクター感染によるエネルギー供給変化について実験を行ってきた。 (1) カンピロバクター感染における、オートファジー誘発意義について行った研究では、オートファジー誘導を確認するだけではなく、細胞内のカンピロバクターに対するオートファジーの働きについてもデータが得ることができ、研究計画通りに研究を進めることができた。 (2) カンピロバクター感染によるエネルギー供給変化について行った研究では、CE/MSを用いたメタボローム解析により、カンピロバクター感染細胞で多くの代謝産物の変動を知ることができた。本年度はアミノ酸に注目した検討を行っているが、今後他のエネルギー代謝に注目した検討も可能であり、本研究の幅を広げる有用な知見を得ることができた。 両実験共に研究計画段階とは異なる実験結果が得られているため、実験計画に大きな変更があるものの、感染時の栄養療法の有用性を検討する上で(1)、(2)両実験共に優れた研究結果が得られているため順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究から、細胞内に侵入したカンピロバクターは宿主細胞内へのアミノ酸供給によって生存効率が大きく変化することが明らかとなった。我々の検討によりタンパク質分解系の一つであるオートファジーが細胞内のアミノ酸供給に寄与し、菌の細胞内生存に貢献していることが明らかとなったが、カンピロバクター感染におけるオートファジー誘発機構については解析が進んでいない。またオートファジー以外にも細胞内のアミノ酸変化に寄与する因子が存在すると考えられているため、細胞内のアミノ酸供給に対するオートファジーの貢献度を検討すると共に、オートファジー以外のアミノ酸供給機構についても研究を続けていく。 今後はカンピロバクターの遺伝子変異株を用いオートファジー誘導因子の検索を行い、また細胞内のアミノ酸変動に関わる因子について調べるため、アミノ酸トランスポーターの発現変動、オートファジー以外のタンパク質分解系の関与について解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末分の物品で、納期が遅れた物品があったため、次年度使用額が生じた。差額は4月の収支に計上する予定。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに物品として使用されており、差額分は4月分の収支に計上される。
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