研究課題
平成29年の検討では主に、(1)カンピロバクター感染によるオートファジー誘導機構について、(2)栄養成分の添加と、菌の生存について実験を行った。(1) 感染によるオートファジー誘導機構については、カンピロバクターのオートファジー誘導因子の検索を主に行った。オートファジーは上皮細胞への侵入性を欠失した株(CapA::cmr)においても同様に誘導されたことから上皮細胞非依存的に誘導されていることが示唆された。またオートファジーは加熱死菌では誘導されなかった一方、感染実験後の上清を加熱処理したもので誘導されたため、感染実験時に分泌される何らかの耐熱性因子がオートファジー誘導に関わっていることが示唆された。さらに限外濾過フィルターを用いた実験から、この誘導因子が3kDa以下の小分子であることも明らかとなったが、分子の特定にまでは至っていない。(2)一昨年の検討よりカンピロバクター感染細胞では宿主細胞内でアミノ酸含有量が大きく変動していることが示唆された。昨年の検討で、オートファジーが一部細胞内のアミノ酸変動に加担していることが示されたが、細胞外のアミノ酸の影響についても同様に検討を行ってみた。感染刺激によって細胞外のアミノ酸含有量に応じて細胞内のアミノ酸含有量が多くなることが明らかとなり、感染細胞内ではアミノ酸取り込み能が上昇していることが明らかとなった。また興味深いことに、細胞外のアミノ酸量に応じて宿主細胞内生存菌数が変化することが明らかとなり、感染細胞のアミノ酸取り込みが、菌の生存にも影響することが示唆された。
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Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
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