研究課題/領域番号 |
15K00823
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
萱島 知子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (90452599)
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研究分担者 |
松原 主典 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90254565)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カルノシン酸 / ローズマリー / 抗ストレス効果 / 精神的ストレス |
研究実績の概要 |
神経細胞保護作用と脳機能改善作用を示すローズマリー成分カルノシン酸について、抗ストレス効果を検証するために、平成27年度には拘束ストレス負荷マウスの腸内細菌叢や炎症性サイトカインに対する影響を明らかにした。本年度は、さらに詳細な影響を明らかにするために、ストレス強度を高めた状態での拘束ストレス負荷マウスの腸内環境、血清・肝臓因子に対するカルノシン酸摂取の影響を検討した。なお、拘束ストレスは精神的ストレスを与えることを目的として負荷した。 方法としては、Balb/c雄マウス(5週齢)をノーマル群、拘束ストレスを負荷したコントロール群、カルノシン酸を摂取させ拘束ストレスを負荷したカルノシン酸群の3群に分け、30日間飼育した。カルノシン酸群には50 μM カルノシン酸水溶液を飲水として自由摂取させた。7日間一日5時間の拘束ストレスを与えた後、解剖し、血液・肝臓成分の分析、組織化学的評価、腸内細菌叢の解析、小腸・大腸での遺伝子発現の分析を行った。 その結果、ストレスホルモンの一種である血清コルチコステロン濃度について、ノーマル群と比較し、ストレスを負荷したコントロール群での有意な上昇が確認され、カルノシン酸群ではこの上昇が抑制された。またストレス負荷によるコントロール群での腸内細菌叢の変動が、カルノシン酸群では改善していた。さらに、小腸の組織化学的評価から、コントロール群にて確認された杯細胞の減少が、カルノシン酸群では改善していた。これらより、カルノシン酸摂取が拘束ストレス負荷マウスに対して、好ましい影響を与える可能性が示唆された。一方、脂質代謝への影響についても検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
拘束ストレス負荷マウスに対するローズマリー成分カルノシン酸摂取の影響について、著しくはないものの一定の効果を与えることを明らかにすることができた。一方で、マウスの拘束時間の延長がストレス強度を高めるとは単純には言えない面もあり、拘束ストレス負荷による実験モデルの再検討も行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、拘束ストレス負荷による実験モデルを再検討した上で、カルノシン酸の効果のメカニズムを、組織化学的分析や遺伝子発現の解析により明らかにしていきたい。また、様々なローズマリー成分を含んでいるローズマリー抽出物を摂取した場合の影響についても、カルノシン酸単体の場合と比較し、検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の基礎研究費の削減により、学会出張の予算を当初予定より多く使用することとなった。このため、前倒し使用の申請を行い、交付を受けた。しかし、試薬等をキャンペーン価格で購入できたことから予定より予算の執行が少なく、繰り越し金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前倒し申請を行っており、当初は平成29年度に使用する予定の予算であったため、計画どおり執行を行いたい。
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