研究課題
超高齢社会となったわが国において、「脳の老化予防」は認知症対策の重要な柱である。本研究では、脳の老化予防に対する食品成分(テアニン、カテキン等)の作用機構解明、ならびに脳老化に対するストレスの関与について下記の成果を得た。(1)緑茶に含まれる主要なアミノ酸であるテアニンは優れた抗ストレス作用を示すが、テアニンの抗ストレス作用は緑茶の主要な成分であるカフェインやカテキンの共存によって阻害される。緑茶中のカフェイン量を減少させた低カフェイン緑茶では、テアニンのストレス軽減効果が高まることがマウスならびにヒトにおいて確認された。低カフェイン緑茶の摂取は睡眠の質も高めたことから、高齢者に適した飲料であることが明らかとなった。またテアニンを多く含む抹茶について、ストレス軽減作用が期待される抹茶の成分組成の基準を明らかにし、その基準がヒトに適用できることを示した。(2)緑茶カテキンを摂取することにより加齢に伴う脳機能の低下を予防できることを、これまでにマウスを用い明らかにしてきた。エピガロカテキンガレート(EGCG)及びその代謝物について、血液脳関門透過性並びに培養神経細胞(SH-SY5Y)に対する神経突起伸長作用を検討した結果、脳内に取り込まれるEGCG並びにその代謝物が、直接的に神経細胞の分化を誘導している可能性が見出された。(3)アルツハイマー病モデル動物の一つである老化促進モデルマウス(SAMP8)では、ストレス負荷により脳内のベータアミロイドの比率(42/40)が有意に高まっていたことから、ストレスはアルツハイマー病の進行を促進することが示唆された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
PLoS One
巻: 13 ページ: e0195753
10.1371/journal.pone.0195753. eCollection 2018
Mol Nutr Food Res
巻: 61 ページ: 1700294
10.1002/mnfr.201700294.
J Clin Biochem Nutr
巻: 61 ページ: 210-216
10.3164/jcbn.17-6.
Biochem Biophys Rep
巻: 9 ページ: 180-186
10.1016/j.bbrep.2016.12.012. eCollection 2017 Mar.
Biol Pharm Bull
巻: 40 ページ: 902-909
10.1248/bpb.b17-00141.
Nutrients
巻: 9 ページ: E777
10.3390/nu9070777
J Food Process Technol
巻: 8 ページ: 695
10.4172/2157-7110.1000695