研究課題/領域番号 |
15K00832
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
湯浅 明子 (小島明子) 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (90295709)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性食品成分 / 神経変性疾患 / アルツハイマー病 / パーキンソン病 / ACA / マテ茶 |
研究実績の概要 |
食品成分による神経変性疾患の予防効果とその作用メカニズムについての総括的な研究を行い、日常の食生活を改善することによって健康長寿を目指すことができるように提言するための基礎研究として、今年度は、 in vitro アルツハイマー病モデルおよび in vitro パーキンソン病モデルを用いて、食品成分による神経細胞保護効果とその作用メカニズムについて検討した。 In vitro アルツハイマー病モデルを用いた検討:ナンキョウ(タイショウガ)に含有する主要機能成分である1'-acetoxychavicol acetate (ACA) は、細胞数に影響を与えない濃度でプロテアソーム活性を増加させた。一方、アミロイドβの添加によって減少した細胞数は、ACAの添加によって有意に回復した。そこで、この作用メカニズムを解明するために、プロテアソーム活性の阻害剤 (MG132) またはプロテインキナーゼA (PKA) の阻害剤 (H-89) を作用させたところ、ACAの効果は有意に抑制された。さらに、細胞内cAMP量およびその合成酵素であるアデニル酸シクラーゼ活性は、ACAの添加によって有意に亢進した。これらのことから、ACAによるアミロイドβ誘導性細胞毒性の抑制作用メカニズムは、cAMP-PKA経路を介してプロテアソーム活性を亢進させ、神経細胞傷害を抑制することを明らかにした。 In vitro パーキンソン病モデルを用いた検討:南米の伝統的飲料として広く飲料されているマテ茶の抽出物は、6-ヒドロキシドーパミン (6-OHDA) によって有意に低下した細胞生存率をコントロールレベルまで回復させること、さらに、その作用メカニズムとして、細胞内活性酸素種産生量を抑制することによって神経細胞傷害に対する保護効果を有することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経変性疾患の予防効果を有する食品成分として、1'-acetoxychavicol acetate (ACA) およびマテ茶抽出物を見出し、神経細胞傷害の抑制効果とその作用メカニズムについて明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は神経細胞を用いたin vitro実験系で作用メカニズムの解明を中心に行ってきたが、疾患モデル動物を用いたin vivo実験系での検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
疾患モデル動物を用いたin vivo 実験系での検討を行うために、次年度の予算を確保する必要が生じため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物購入費として使用する。
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