研究課題
食品成分による神経変性疾患の予防効果とその作用メカニズムについての総括的な研究を行い、日常の食生活を改善することによって健康長寿を目指すことができるように提言するための基礎研究として、今年度は、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yに6-hydroxydopamine (6-OHDA)を作用させることによって作製したin vitro パーキンソン病モデルを用いて、食品成分による神経細胞障害に対する保護効果のより詳細な作用メカニズムについて検討した。さらに、ロテノン投与による in vivo パーキンソン病モデルを作製し、運動能力試験によってその有効性を評価した。In vitro実験系:南米の伝統的飲料として広く飲料されているマテ茶の抽出物は、細胞内活性酸素種産生量を抑制することによって6-OHDAによって誘導される神経細胞障害に対する保護効果を有することを前年度までに見出している。そこで、マテ茶抽出物による神経細胞障害に対するその詳細な作用メカニズムとして、抗酸化タンパク質(ヘムオキシゲナーゼ-1 : HO-1)との関連性を調べたところ、マテ茶抽出物は、Nrf2-ARE経路を介してHO-1の発現を亢進させることによって、酸化ストレスによる神経細胞障害に対する保護効果を示すことを明らかにすることができた。In vivo実験系:ロテノンはミトコンドリア複合体Ⅰを阻害することによって活性酸素種産生量を増加させ、その酸化ストレスによって神経細胞死を導くことが知られている。そこで、C57BL6/Jマウスにロテノン溶液(10 mg/kg BW)を連続4週間、胃チューブを用いて経口投与した。運動能力試験としてロータロッド試験を実施した。その結果、ロテノン群におけるロッドの滞在時間はコントロール群と比較して有意に減少したことから、本実験条件はパーキンソン病モデルとして有効であることを見出した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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