研究課題
病態モデル動物を用いた生体機能異常発症に対するビタミンA栄養状態による影響の検討1.実験には2型糖尿病および軽度肥満を自然発症するNSYマウスを用いた。5週齢のNSYマウスを、コントロール食群(C群)、30%スクロース溶液飲水群(S群)、S群にビタミンA(A群)またはβ-カロテン(B群)を投与した群の4群に分け15週齢時まで飼育した。14週齢時に行った腹腔内グルコース投与試験では投与2時間までの血糖値上昇面積は、C群に比べS群で大きい傾向を示したが、A群およびB群ではその上昇が抑制された。15週齢時の肝臓トリグリセリド量はC群に比べS群とB群で有意に高かったが、A群では低い傾向を示した。以上の結果から、2型糖尿病モデルNSYマウスに対しては、ビタミンAやβ-カロテンの投与により食後の血糖値の低減効果が見られ、さらにビタミンAの投与は脂質代謝異常改善効果も示すことが明らかとなった。2.実験には卵巣摘出および片足坐骨神経切断を施した8週齢の骨量減少・下肢筋萎縮モデル雌性ラットを用いた。本ラットを、コントロール食群(C群)、ビタミンA添加食群(A群)、β-カロテン添加食(B群)の3群に分け、さらに同週齢で疑似手術を行い、コントロール食を与えた群(SC群)を加え、計4群のラットを22週齢時まで飼育した。飼育終了時の下肢骨格筋量および大腿骨骨密度は、いずれもSC群に比べ、C群で有意に低値を示したが、A群およびB群では筋委縮や骨密度低下に対する抑制効果はみられなかった。一方、肝臓トリグリセリド量は、SC群に比べC群で有意に高値を示したが、A群およびB群ではその増大が抑制される傾向を示した。以上の結果から、ビタミンAやβ-カロテンの摂取は骨量減少や筋委縮に対して明確な抑制効果を示さないが、卵巣摘出に伴う肝臓脂肪蓄積に対しては抑制効果が認められた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Hepatobiliary Surgery and Nutrition
巻: - ページ: -
http://dx.doi.org/10.21037/hbsn.2017.08.03
Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 40 ページ: 62~69
https://doi.org/10.1016/j.jnutbio.2016.10.007