研究課題/領域番号 |
15K00840
|
研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏和 和洋女子大学, 生活科学系, 准教授 (70270527)
|
研究分担者 |
金子 健彦 和洋女子大学, 生活科学系, 教授 (40233879)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 補酵素Q10 / 健康長寿 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
本年度は、食事からの補酵素Q10(CoQ10)摂取量の調査を行った。また、積極的なCoQ10摂取を目指した食品ガイドを試作し、食事介入がCoQ10摂取量の増加に結び付くか検討を行った。 管理栄養士養成施設通学中の20代の男女85名(男16名、女69名)を被験者として秤量記録法による食事調査を1日行い、食品中に含まれるCoQ10量の文献値をもとに1日当たりのCoQ10摂取量を計算した。被験者の摂取エネルギー量は、平成25年度国民健康・栄養調査の20代の93~95%程度であった。CoQ10摂取量は、男性は3.71±2.74mg/日、女性は2.98±2.07mg/日であった。エネルギー1000kalあたりでは1.87±1.08mgとなり、性差は無くなった。CoQ10摂取量の個人差に及ぼす食事の影響について調べたところ、動物性たんぱく質の摂取割合との関連が見られた。 次に、食事バランスを維持しつつ動物性たんぱく質の摂取割合を上げる食事指導がCoQ10摂取量の増加に有効か検討をするために、食品ガイドと簡易型CoQ10摂取見積表を用いた食事指導介入試験を行った。管理栄養士養成施設通学中の20代女性24名を被験者とした。1日当たりのCoQ10摂取量の目標値は、4.0mgとした。介入前後でそれぞれ3日間の秤量記録法による食事調査を行った。介入の前後で総摂取エネルギー量は差が見られなかったが、動物性たんぱく質と魚類の摂取量が有意に増加した。またこの食事介入は、日頃から肉食であった者を除けば、CoQ10摂取量の増加に有効であることが分かった。 さらに、血中CoQ10量に及ぼす食事の影響についても検討を行っている。2週間の肉食制限を行ったところ、血中CoQ10量が有意に低下した。食事介入による血中CoQ10量の変動については今後検討を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の一つである、食品ガイドおよび簡易型CoQ10摂取見積表を利用した食事介入が、食事バランスを崩さずにCoQ10摂取量を増やすことに有効であることが確認できた。また、血中のCoQ10量が食事の質の違いにより変動する可能性のあることを突き止めた。これらの知見は、研究者らの予測と一致していた。一方で、食事介入を長期間継続することは、食材購入に係る被験者の経済的負担が大きくなる可能性のあることが分かってきた。次年度の研究では、被験者の経済的な負担を軽くする方策も講じる必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、CoQ10の摂取量を増やすことが血中CoQ10量の増加に結び付くか、また食事介入前後の血中CoQ10量の個人差の遺伝的背景の違いを見出すために、CoQ10生合成系およびCoQ10取り込み系の遺伝子を対象とした遺伝子一塩基多型と血中CoQ10量との関連について調べる。さらに、対象者を高齢者に拡大し、血中CoQ10量の維持または増加が生活の質(QOL)の低下予防や改善に有効か検証を行う。CoQ10を通常の食事から多く摂取することは経済的負担が大きくなる可能性が出てきたので、CoQ10成分を食事に添加した強化食品を利用することも検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
被験者数が想定人数よりも少なく、費用が当初の見積よりも少なくなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究遂行に必要な血液検査費や消耗品購入代金の一部として使用する。
|